Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年9月4日 No.3190  東日本大震災の被災地視察第2弾を実施 -新規事業と雇用創出への挑戦

吉里吉里国において間伐材からつくった「復興の薪」を囲んで

1%(ワンパーセント)クラブ(佐藤正敏会長)では、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(支援P)、東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)との共催で、企業の被災地支援担当者による現地視察の第2弾を7月30日から8月1日に実施した。訪問先の概要は次のとおり。

■ 第一次産業を新たな視点で再興

宮城県石巻市北部に位置する長面浦では、山からの清流と海水が混じる地の利を活かし牡蠣の養殖が行われ、季節ごとに異なる魚の旬を楽しむことができる豊かな漁場だったが、津波で壊滅的な被害を受けた。そこで漁師たちは海を守ろうと団体を立ち上げ、コミュニティの拠点となる番屋を建設するとともに、都市部の人々と交流しながら、長面浦の魅力や牡蠣のおいしさを伝えていこうとしている。

岩手県大槌町では、豊かな海を取り戻すために森を育む活動を続けていこうと住民有志が立ち上がって「吉里吉里国」を設立した。山林所有者や地域住民が、自らの山を自ら整備し、木材や薪などに加工・出荷して収入を得る自伐型林業を展開している。

■ 子育てしながら働ける場の提供や環境整備

宮城県気仙沼市の「ピースジャム」では、新生児や幼児を抱える母親が安心して働ける雇用の場を確保しようと、託児機能を持った工房を設け、地域の野菜や果物を使ったジャムや母親が欲しいと思う手工芸品を製造・販売している。核家族化が進むコミュニティをつなぐように、高齢者から子どもまでが集える場所としていくことも計画されている。

岩手県釜石市平田第6仮設団地の「ママハウス」では、保健師のアドバイスやカウンセリングを受けられるなど母親の不安を解消する環境を整え、交流を通してママ友づくりができる場を提供するとともに、就労につながるような講座の実施や託児事業などを行っており、母子ケアとあわせて、母親が輝ける場づくりを目指している。

そのほか、カフェやマルシェ、情報収集・発信の場として幅広く市民に利用されている釜石商店街の「みんなの家かだって」、手工芸品の販売所やコミュニティFMを運営する「ぐるっとおおつち」、住民共同の味噌づくりから始まった産直品販売所「南三陸みなさん館」(宮城県南三陸町)を訪問するとともに、いわて連携復興センターのコーディネートにより、岩手県内で活動する約20団体との意見交換を行った。