経団連は9、10の両日、東京・大手町の経団連会館で、ブラジル全国工業連盟(CNI)と第17回日本ブラジル経済合同委員会を開催した(日本側議長=飯島彰己日本ブラジル経済委員長、ブラジル側議長=マスカレーニャス・ブラジル日本経済委員長)。日伯双方の経済界から230名超が出席した。
合同委員会では、榊原定征会長が安倍首相に同行しての中南米訪問(7月25日~8月4日)を踏まえ、「安倍総理が現地で言及されたとおり、“Juntos”(「共に」、ポルトガル語)の理念のもとに両国関係の緊密化を図りたい。また、世界各地で地域経済統合に向けた動きが活発化するなか、中南米最大の経済国であるブラジルが、貿易、投資の自由化やルールの調和化に向けた動きに積極的に参加することに期待する」とのスピーチを行った。
また、日本ブラジル経済連携協定(EPA)に関する研究の開始について覚書を交わしたほか、貿易投資促進、天然資源・エネルギー、ビジネス環境整備、インフラ整備等に関する意見交換を行った。
個別テーマに関する討議概要は次のとおり。
1.貿易投資促進
ブラジル側から、技術協力の推進やバリューチェーンの拡大を図るために、関税の引き下げのみならず、投資・サービスの自由化、知的財産権・特許等を含む、包括的な日伯EPAの可能性を追求すべきとの見解が示され、日伯EPAに関する研究を通じて具体的に検討することとした。
2.天然資源・エネルギー
ブラジル側から、資源開発や輸送インフラへの日本の技術と資金による協力に強い期待が示された。日本側からは、長期安定的な鉄鉱石の供給、沖合深海油田開発等に関する提案が行われた。
3.ビジネス環境整備
日本の中小企業のブラジル進出を日伯双方の金融スキームを利用し、支援することで、ブラジルの産業競争力が強化されるという点で一致した。また、税制や法制等のビジネス環境を整備することは、進出企業のみならず、地場企業の利益に直結することを確認した。
4.インフラ整備
物流インフラの整備によって、農業分野を含め、ビジネスチャンスが大幅に拡大する余地があることを日伯双方で確認した。ブラジル側から提示されたコンセッション案件については、協力の可能性を具体的に模索することとした。
次回会合は来年中にブラジルで開催する。
【国際協力本部】