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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年9月25日 No.3193 第5回アジア・ビジネス・サミット開催 -アジアの成長戦略・地域経済統合の推進等で共同声明採択

アジア・ビジネス・サミットに出席する榊原会長(左から5人目)

経団連は15日、比日経済委員会(The Philippines‐Japan Economic Cooperation Committee, Inc. エグミディオ・ジョゼ委員長)とともにマニラにおいて、第5回アジア・ビジネス・サミットを開催した。同サミットは、アジアの主要国・地域の経済界のトップが一堂に会し、アジアの成長戦略、地域経済統合の推進等、地域の共通課題について意見交換を行い、各政府に政策提言を行う目的で、経団連の提唱により2010年から毎年開催。今回は、7カ国・地域から8経済団体の首脳が出席し、経団連からは、榊原定征会長、内山田竹志副会長、佐々木則夫副会長らが参加した。各セッションの概要は次のとおり。

1.アジアの成長戦略

冒頭、榊原会長から、日本は成長著しいアジアとともに発展するために、ハード・ソフトのインフラ整備、経済連携の推進を「車の両輪」として、経済界の立場から成長戦略の実現に貢献する旨のスピーチを行った。これに対しシンガポール経団連から、2.3兆ドルの経済規模、6.1億人の人口、教育水準の高い若年層を擁するASEANが、その強みを発揮するためには、サプライチェーンの円滑化ならびに政労使協働による中小企業育成が重要であるとの指摘があった。このほかタイ商業・工業・金融合同常任委員会から、現行の暫定政権が国民の40%以上の支持を得た安定政権であり、引き続きインフラ整備、人手不足の解消等を通じて成長基盤を構築していく旨の説明があった。

2.地域経済統合

TPP(環太平洋経済連携協定)やRCEP(東アジア包括的経済連携)の実現を通じたFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の構築について、意見交換を行った。全国経済人連合会(韓国)から、地域経済統合を通じて、アジア発の国際標準の普及等の面で協働すべきであるとの意見が提示された。

3.エネルギー・環境問題

内山田副会長が、アジア地域におけるエネルギーの3E(安定供給、経済性、環境適合性)の最適なバランスの重要性を指摘するとともに、世界の発電量の約4割を担う石炭火力に、世界のCO2排出量の約3割が起因しており、環境負荷を抑制すべく高効率の発電技術の普及が重要である旨指摘。これに対しインド工業連盟から、石炭火力を否定する見解には賛同できず、各国の事情に応じたエネルギー政策が不可欠であるとの見解が示された。

4.ビジネス環境整備

佐々木副会長は、経団連提言「アジア諸国における税制および執行に関する要望」(2014年6月)に基づき、アジア各国・地域において、移転価格税制がビジネスの障害になっている事例を指摘した。これに対し、税務を含むビジネス環境の整備は、外国企業のみならず、現地企業、とりわけ中小企業の利益になるため、官民が連携して取り組むべきであるという点で一致した。

◇◇◇

会議の最後には、討議の内容に沿って取りまとめられた共同声明が全会一致で採択された。
第6回アジア・ビジネス・サミットは、来年度中に東京で開催する。特に、来年はASEAN経済共同体(AEC)の発足を控えていることから、地域経済統合に焦点を当てる予定である。

※共同声明の全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/076.html 参照

【国際協力本部】

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