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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年3月26日 No.3217 国際機関・フォーラムの戦略的活用策等を聞く -経済外交委員会企画部会

わが国の経済外交戦略上、G20(金融世界経済に関する首脳会合)やB20(G20ビジネスサミット)をはじめ、政府と民間の双方が関与する国際機関・フォーラムをいかに戦略的に活用していくかは、極めて重要な課題である。そこで、経団連の経済外交委員会企画部会(清水祥之部会長)は9日、東京・大手町の経団連会館でG20など国際経済の前線をつぶさに取材、提言してきた日本経済新聞社の藤井彰夫編集局次長兼国際アジア部長から、国際機関・フォーラムの戦略的活用と官民連携のあり方について説明を聞いた。
説明の概要は次のとおり。

■ 冷戦後の今日の世界

東西冷戦が終結し、ベルリンの壁が崩壊した当時は、あたかも冷戦後に世界平和が訪れるかのような雰囲気に包まれていた。しかし、四半世紀が経過した今日、「新冷戦」がささやかれたりイスラム国が台頭するなど、当時の予想とは全く異なる世界が出現している。

ウクライナのポロシェンコ大統領が「国際政治の勢力均衡が崩された」「世界は1962年のキューバ危機以来の安全保障上の危機にある」と懸念を深める一方、ロシアのプーチン大統領は「米国は自らの利益に沿った一方的なシステムをつくり、世界を紛争と混乱に陥らせた」と応酬するなど、新たなほころびがみられるようになっている。

■ 新たな五つの分断線

このほころびの特徴は、(1)グローバリズム対ナショナリズム(2)過激主義の政治(3)高齢者対若者(4)貧富の格差(5)マネー対実体経済――という五つの分断線である。

とりわけグローバリズムとナショナリズムの対立は、国際政治経済における新たな分断線として先鋭化している。冷戦後、欧州連合(EU)は旧東欧諸国も巻き込みながら拡大の一途をたどってきたが、英国やフランスなど主要国において反EUを標榜する過激な右派勢力の台頭を招いている。また、ロシアのナショナリズムはクリミア併合やウクライナ東部危機を惹起している。

■ 日本の影響力の低下

経済力の低下や中国の台頭に伴い日本のプレゼンスは著しく低下した。

私自身、80年代後半、90年代後半、2010年代という異なる時期に米国に3回駐在したが、日本への関心の凋落は明白である。80~90年代と異なり、日本の脅威は低下し、米国にとってもはや“仮想敵国”ではない。日米貿易摩擦や日本叩きは過去のことである。バブル時は黙っていても日本に関心が集まったが、今日、日本として身の丈に合った存在感をいかに示していくかが問われている。

■ 国際フォーラム等にどう向き合うか

日米協調や冷戦終結を経て、多極化時代に突入した今日の世界において、日本はG20はじめ国際経済フォーラム・機関を有効活用し、課題設定等の面で主導権を取るべきである。また、日本のプレゼンス向上の観点から、国際機関への日本人幹部・職員の派遣や養成に本腰を入れる必要がある。

一方、インフラ輸出や首脳外交等で一定の成果がみられる官民連携については、適切な距離を保ちながら、エネルギー等の分野で連携を推進していくことが有効ではないか。

【国際経済本部】

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