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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年4月23日 No.3221 提言「人口減少への対応は待ったなし」を公表 -総人口1億人の維持に向けて

日本は、すでに本格的な人口減少に直面している。人口減少が続く社会は閉塞感を生み、経済は縮小均衡に陥り、国家は衰退の危機に瀕する。直ちに社会全体で課題解決に向けて取り組む必要がある。そこで、経団連(榊原定征会長)は14日、提言「人口減少への対応は待ったなし」を取りまとめ、公表した。提言のポイントは次のとおり。

■ 出生率低下の主因の未婚化への対策

日本の出生率低下の主因は、未婚化の進展であると考えられている。背景には、若年雇用の不安定化・非正規化による若者の経済的不安など、結婚への希望がかなえられない社会環境があるとされており、早急な対応が求められる。

政府としては、既存のフリーター対策などの強化を図るとともに、若者の不本意非正規の実態の詳細な把握などが求められる。他方、企業としては、意欲と能力のある自社の有期雇用社員に対して、正社員や多様な無期契約社員への転換制度の整備を進めていくことで、働き方の選択肢を積極的に増やしていくことなどが必要である。

また、このほか、地方における若者の雇用機会の拡大、結婚を希望する男女のマッチング促進、ライフ・デザイン教育の展開などについても取り組む必要がある。

■ 生み育てやすい環境をつくる

結婚の希望をかなえる一方で、生み育てやすい環境をつくることも重要である。政府においては、子育てサービスを拡充して待機児童の解消を図るほか、育児や教育にかかわる負担を軽減する施策が求められる。その財源は、これまでの高齢者中心の歳出構造を国民の理解を得て見直すことで捻出すべきである。

企業は、従業員のワーク・ライフ・バランス実現に向けた取り組みを進める必要がある。例えば恒常的な長時間労働の是正に取り組むとともに、地域・職種限定正社員や、テレワーク等の働き方の選択肢を積極的に増やしていくことが求められる。また、男性の育児休業や育児休業に類似する休暇の取得促進に努めていくことも重要である。

■ 外国人材の受け入れ・定住促進

多様な外国人材が日本で活躍することは、経済社会全体のイノベーションにつながる。出生率改善に取り組む一方で、人口減少に直面する日本が活力を維持していくためにも、意欲・能力のある外国人材に選ばれる国になれるよう改革を進めていくべきである。

求められる対応としては、高度人材の一層の受け入れ促進や受け入れ対象の拡大が挙げられる。また、教育・医療などの生活環境の改善や多文化共生社会の構築なども課題であり、国民の理解を得ながら進めていく必要がある。

■ 社会全体の取り組み推進

結婚や出産に関する問題は、個々人の価値観を最大限に尊重すべきであり、例えば出産・育児と就労の両立を女性に一方的に強制するようなことはあってはならない。しかし、社会全体でさまざまな環境整備を進めるなかで、若い世代が結婚、妊娠・出産、子育てに対し、より前向きに考えられる社会を実現することが、人口減少のトレンドを転換するうえで重要である。

経済界は、従業員のワーク・ライフ・バランスの実現など、自らに課せられた課題の解決に積極的に取り組んでいく。

※提言の全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/037.html 参照

【経済政策本部】

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