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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年5月21日 No.3224 「財政健全化計画の策定に向けた提言」を公表 -経済再生・社会保障改革なくして財政健全化は達成せず

デフレ脱却・経済再生と財政再建は喫緊の課題である。政府は経済財政諮問会議を中心に議論を進め、6月中に取りまとめる骨太方針において新たな財政健全化計画を盛り込むとしている。

そこで、経団連(榊原定征会長)は19日に「財政健全化計画の策定に向けた提言―経済再生・社会保障改革なくして財政健全化は達成せず」を公表した。ポイントは次のとおり。

■ 財政健全化目標と目標達成に向けた基本的考え方

PB黒字化目標の達成に向けた取り組みのイメージ

2020年度までにプライマリー・バランスを黒字化する財政健全化目標を堅持すべきである。債務残高対GDP比は、当面の間、補完的指標とし、プライマリー・バランス黒字化達成後、安定的に引き下げるべきである。

目標達成に向けた基本的考え方として、(1)16年度から18年度を集中改革期間として、数値目標を設定し、経済再生・歳出改革に最優先で取り組む(2)18年度に中間評価を行い、収支改善が未達の場合は追加的な歳出・歳入改革を策定する(3)20年度までに、それらを具体化し、プライマリー・バランス黒字化を達成する――ことが挙げられる(図表参照)。

■ 経済再生

政府は、日本再興戦略の実現にしっかりと取り組むとともに、追加的な成長強化策も遅滞なく実施すべきである。そのためには、法人実効税率の引き下げ、ICT利活用推進、農業・観光振興、広域経済連携の推進などあらゆる成長強化策を講じることが求められる。経済界もデフレ脱却・経済再生の実現に向けて最大限努力する。これらの取り組みにより、持続的な経済成長が続く経済構造に転換し、名目3%超、実質2%超の経済成長を実現し、増収を図るべきである。

■ 社会保障改革

社会保障改革は極めて重要であり、社会保障にかかわる公費の伸びだけでなく保険料の負担増にも対応するよう、社会保障給付費そのものの伸びを高齢者の数の増加に伴う給付の伸びの範囲内に抑制すべきである。その際、一律かつ機械的な削減手法によるのではなく、以下に示す改革の3つの重要な視点を基本に、各分野での政策メニューを実行すべきである。

  1. (1)給付の適正化を通じた過剰な給付の削減=後発医薬品の使用促進やICT化やマイナンバーの利活用による検査・投薬の無駄の排除
  2. (2)真に必要な人へ真に必要なサービスを給付=例えば湿布など市販薬と同等のものを公的保険から除外、高所得者に対する基礎年金の国庫負担分の縮減
  3. (3)利用者負担の適正化=後期高齢者医療の自己負担2割への引き上げや外来受診時の定額負担の導入

このほか、健康管理、疾病・介護予防、老後所得確保への自助努力を奨励すべきである。

■ 社会保障以外の歳出改革

社会保障以外の歳出は、人口減少を踏まえ、増加を前提とすべきではなく、聖域なく合理化する必要がある。地方も国の取り組みと歩調をあわせ、歳出抑制策を実行すべきである。

■ 歳入改革

消費税については、単一税率を維持しつつ、17年4月に10%へ引き上げるとともに、18年度の中間評価において経済動向や財政健全化の進展状況を踏まえ、消費税を含む歳入改革の追加措置の要否を検討すべきである。

※提言の全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/048.html 参照

【経済政策本部】

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