中東最大の経済大国であるトルコは、今年のG20(金融世界経済に関する首脳会合)議長国を務めるなど、地政学的な重要性と相まって、国際的なプレゼンスを高めている。また、日・トルコ経済連携協定(EPA)の交渉が本格化する一方、今年は歴史的な観点から、両国の絆を象徴する極めて重要な年でもある。
折しも経団連では10月8日、G20に先立って急遽来日したレジェップ・タイップ・エルドアン大統領およびニハト・ゼイベキチ経済大臣との懇談会を開催(10月22日号既報)するなど、両国の経済関係の拡大と深化に向けた機運はこれまでになく高まっている。
そこで、経団連の日本トルコ経済委員会(釡和明委員長、山西健一郎委員長)は5日、東京・大手町の経団連会館で、トルコ経済省およびトルコ海外経済評議会(DEIK=メフメト・ペカルン・トルコ日本経済委員長)と日本トルコ合同経済委員会を共催した。
第23回となる同委員会には、イブラヒム・シェネル経済省次官、ビュレント・メリチ駐日トルコ大使、上田隆之経済産業審議官を来賓に迎え、日本・トルコ双方から合わせて約120名が参加し、貿易・投資関係の強化のあり方等について意見交換を行った。
■ 二国間経済関係のさらなる発展に向けた基盤
第1セッションでは、日・トルコEPAや日・トルコ社会保障協定など、二国間経済関係のさらなる発展に向けた制度上のインフラ整備について意見交換を行った。トルコ経済省から互恵的なEPA締結の重要性について説明があったのに対し、経団連からは、包括的かつ高水準なEPAの早期締結を訴えた。
■ 互恵的関係の構築に資する横断的分野
第2セッションでは、両国の互恵的なパートナーシップの構築を促進する観点から、「建設、災害に強いインフラ」「エネルギーと環境」という横断的なテーマについて、日・トルコ双方の事業取り組み等を紹介した。特に2023年のトルコ建国100周年を見据え、地震多発国でもある両国がエネルギー安全保障や低炭素社会に配慮しつつ、いかに災害に強いインフラを構築するかという観点で議論が展開された。
■ 主要な産業分野におけるビジネス機会
第3セッションでは、欧州、中東、北アフリカ、中央アジアの結節点に位置するトルコの地理的な優位性を念頭に、自動車部品製造業やヘルスケア産業等、日・トルコ双方の関心が高い主要な産業分野におけるビジネス機会、二国間・多国間の枠組みを通じた日・トルコ科学技術協力の展望等について、個別具体的で活発な意見交換が行われた。
■ 会合の成果と今後の取り組み
丸一日の議論を通じて両国間のビジネスの潜在力や経済連携によるシナジー効果を確認するとともに、トルコ経済省にビジネス環境上の諸課題を指摘、改善を働きかけるなど合同経済委員会の機会を有効に活用できた。
経団連では、EPA交渉等の今後の進捗を踏まえ、両国間の経済関係を一層拡大・深化していく観点から関係方面に働きかけていく。
【国際経済本部】