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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年1月21日 No.3254 韓国・台湾の外国人労働者政策と日本への示唆 -佐野福島大学教授に聞く/人口問題委員会企画部会

経団連は12月21日、東京・大手町の経団連会館で人口問題委員会企画部会(高尾剛正部会長)を開催し、福島大学経済経営学類の佐野孝治教授から、韓国・台湾の外国人労働者政策等について説明を受けた後、意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

■ 韓国の「雇用許可制」の現状と課題

韓国の雇用許可制は、送り出し国と二国間覚書を締結し、韓国語試験・技能試験等を経て求職登録した者を中小製造業や農畜産業などに受け入れる「一般雇用許可制」と、韓国系外国人を対象とした「特例雇用許可制」がある。

特徴としては、(1)労働市場補完性(韓国人優先雇用)の原則(2)均等待遇(差別禁止)の原則(3)短期ローテーション(定住化防止)の原則(4)外国人労働者受け入れプロセスの透明化の原則――が挙げられる。

(1)労働市場の補完という面では、労働市場テストの実施、業種別のクォータ管理が実施されており、失業率への影響はみられない。(2)均等待遇については、労働三権、最低賃金など韓国人と同じ労働関連法が適用され、一部、差別や格差は残っているものの、韓国人と外国人の賃金格差も合理的水準に収まっている。また(3)雇用期間については、最長で4年10カ月(一時帰国後にさらに4年10カ月)に制限されている。(4)受け入れにあたっては、二国間覚書を締結し、政府機関が外国人労働者の選抜、導入、管理、帰国支援までの全プロセスに関与している。透明性の向上が実現した一方で、政府機関による求人・求職情報の管理や就業教育などに伴う行政コストの問題もある。

■ 台湾の外国人労働者政策の現状と課題

台湾はインドネシア、ベトナム等と二国間協定を締結し、労働市場補完性の原則に基づく雇用許可制のもとで、製造業と介護分野を中心に外国人労働者を受け入れている。受益者負担の考え方が採られ、雇用主は「就業安定費」(外国人雇用税)を納入する。最大12年間(介護は14年間)の滞在が認められ、短期ローテーションとはいい難くなっている。なお求人と求職の間に民間仲介業者が介在し、仲介手数料・研修費など外国人労働者の負担は大きい。

■ 「外国人労働者争奪戦時代」のアジアと日本

アジア諸国の経済成長や少子高齢化の進展によって、労働力供給は低下し、労働力需要は増大している。高度人材だけでなく単純労働者についても争奪戦が始まっている。日本の技能実習制度は最長就労期間が短く、初期費用も高い。円安や賃金格差の縮小も進み、日本はもはや魅力的な出稼ぎ先ではない。中長期的には技能実習制度による外国人労働者の受け入れ拡大は困難であり、これに代わる外国人労働者の受け入れ制度の構築が求められる。

<意見交換>

意見交換では、出席者から韓国で雇用許可制が導入されたきっかけについて質問があった。これに対し佐野氏は、中小企業における人手不足に加え、宗教界、市民団体、中東での出稼ぎ経験がある韓国人などが外国人労働者の支援を求めて立ち上がり、当時のリベラル系の盧武鉉政権が人権問題として受け止めて法制度整備を推進したと説明した。

【経済政策本部】

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