Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年3月10日 No.3261  政府の財政健全化と社会保障改革の取り組み聞く -社会保障委員会

経団連は2月25日、東京・大手町の経団連会館で社会保障委員会(鈴木茂晴委員長、鈴木伸弥委員長、櫻田謙悟委員長)を開催した。内閣府の羽深成樹政策統括官(経済社会システム担当)から、政府の財政健全化と社会保障改革の取り組みの全体像について、産業医科大学の松田晋哉医学部教授から、医療・介護の「見える化」に関する取り組みについて、それぞれ説明を聞くとともに意見交換を行った。

羽深政策統括官の説明は次のとおり(松田教授の説明は次号掲載)。

■ 政策の基本方針

政府は、昨年6月に「骨太方針2015」を取りまとめ、そのなかの「経済・財政再生計画」において、今後の政府の取り組みの基本方針を示した。

同計画では、従来の財政健全化目標と同様、足もと対GDP比マイナス3.3%となっているプライマリー・バランス(PB)について、18年度にマイナス1%、20年度に黒字化させることを目標に掲げている。

この目標を達成するため、社会保障関係費の自然増の伸びについて、安倍内閣の過去3カ年度の実績が約1.5兆円程度になっていることから、18年度までの3カ年度についても、経済・物価動向等を踏まえつつ、その基調を継続していくことを目安として、効率化、予防等や制度改革に取り組む。

■ 「経済・財政再生アクション・プログラム」と社会保障改革

昨年末、経済財政諮問会議において、同計画の改革工程表とKPI(Key Performance Indicators)を示した「経済・財政再生アクション・プログラム」が取りまとめられた。このアクション・プログラムでは、改革を着実に進めるため、主要な改革項目80項目のすべてについて、改革工程表をつくるとともに、180程度のKPIを設定し、進捗管理を行っていくこととしている。

社会保障分野の改革のうち、医療・介護提供体制の適正化としては、例えば、将来における機能別の病床必要量等を定める「地域医療構想」を、すべての都道府県において16年度末までに前倒しで策定することをKPIとして設定している。また、地域医療構想に整合的なかたちで医療費の目標等を定めるとともに、医療費の地域差の是正を図る「医療費適正化計画」についても、概ね半数の都道府県において、16年度末までに前倒しで策定することを目指している。

<意見交換>

講演終了後、委員から「経済・財政再生計画では、社会保障関係費の自然増を3年間で1.5兆円に抑えるとしており、16年度予算については、その3分の1の0.5兆円に収まった。17、18年度予算についても、0.5兆円程度に抑制できるか」との質問があった。

これに対し、羽深政策統括官から「18年度については診療報酬と介護報酬の同時改定が予定されているため伸びを抑制する手段があるが、17年度はそれらの手段がないため、何らかの制度改正も含め検討する必要がある。自然増は、従来約3%だったものが足もと約2%程度にまで低下してきているので、その要因分析を行い、さらなる措置を講じていきたい」との回答があった。

【経済政策本部】