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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年3月31日 No.3264 農業特区を活用した企業との連携が進展 -篠田新潟市長と懇談/農業活性化委員会企画部会

説明する篠田市長

政府は国家戦略特別区域(以下、特区)を岩盤規制改革の突破口と位置づけており、農業分野では、新潟市が「革新的農業実践特区」として指定されている。

そこで経団連は10日、東京・大手町の経団連会館で農業活性化委員会企画部会(川面克行部会長)を開催し、篠田昭新潟市長から、特区を活用した農業の競争力強化・成長産業化策とその将来像を聞いた。篠田市長の説明概要は次のとおり。

1.特区における取り組み

新潟市は全国トップクラスの農業都市であると同時に、食にかかわる企業や研究機関が集積するなど、食品製造力も高い。このポテンシャルを活かして食産業全体を連携させ、成長産業として発展させるため、2011年度から「新潟ニューフードバレープロジェクト」を開始し、6次産業化の推進や新潟ブランドの構築・情報発信等の取り組みを推進してきている。

こうした活動を踏まえて、新潟市は14年度に農業分野の特区に指定された。

特区における規制の特例を活用して、すでに次の取り組みが進められている。

  • 農業生産法人の役員要件にかかる農地法の特例により、ローソン、新潟クボタ、セブンファーム新潟、東日本旅客鉄道等の9社が参入、コメや野菜の生産・輸出等に取り組んでいる。
  • 「農家レストラン」設置にかかる特例を活用し、今春3軒が営業開始を予定している。
  • 農業への信用保証制度の特例により、これまでに1.3億円を融資している。
  • 農業委員会が担っている農地の権利移動に関する事務について、特例により企業の新規参入に関する部分のみを新潟市が担ってきたが、今年4月以降はすべての関係事務を新潟市が担う。

2.農業を核とした新潟市の成長戦略

新潟市を日本一の大農業拠点とするため、農業を核とした成長戦略を策定している。具体的には、(1)農業と福祉、医療、環境・エネルギー、教育、子育て等を連携させる「12次産業化」の実現(2)現地精米を含めたコメ輸出量の拡大(3)「ピースキッチン運動」の展開(生産者とシェフの連携を通じた交流拡大)――等を推進していく。

<意見交換>

続く懇談では、農業界とどのように関係を構築してきたのかとの質問に対し、篠田市長は「特区導入に先立って、食品加工支援センターの設置、給食の完全米飯化等、農業界との連携策を積み重ねてきた。また、耕作放棄地の再活用など、具体的プロジェクトの実施を通じて、農業界にとっても企業との連携が有効と理解してもらえたのではないか」と説明した。さらに、アグリツーリズムの可能性に対しては、「大いに期待している。現地交通等を整備して、農家レストラン・アグリパーク等をめぐる周遊コースをつくりたい」と述べた。

【産業政策本部】

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