Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年4月14日 No.3266  被災地出身アスリートの活躍が地域を元気に -豊田委員長が宮城県の若手アスリートと交流/オリンピック・パラリンピック等推進委員会

日本製紙・石巻室内練習場で子どもたちと交流

経団連のオリンピック・パラリンピック等推進委員会(豊田章男委員長、長榮周作委員長)は3月10日に開催した会合において、企業経営者がアスリートとともに、全国各地を訪れ、若手アスリート、選手をサポートするスタッフなどと交流を図り、今後の同委員会の活動に活かす取り組みを始めることを決定した。その一環として豊田委員長が、ハンマー投げでオリンピック、世界陸上などの金メダルを獲得している室伏広治氏とともに、7日、宮城県を訪れた。

当日はまず、仙台大学(柴田町)を訪れ、2013年にフランスで開催されたIPC陸上選手権大会において、やり投げで銅メダルを、また14年の仁川アジアパラ競技大会陸上で砲丸投げと円盤投げで金メダルを獲得(砲丸投げは世界新記録)した加藤由希子選手(仙台大学卒・SMBC日興証券所属)の練習に参加した。加藤選手は気仙沼市出身、生まれつき左肘から先がない障がいを持ちながら健常者の仲間とともに陸上競技を続けてきた選手で、東日本大震災では自宅が津波に流されるという厳しい経験をしている。

室伏氏は加藤選手に直接、指導を行うとともに、15年に聴覚障害者日本選手権男子100メートルで日本ろうあ新記録の10.88秒を出した佐々木琢磨選手(仙台大学卒・同大学職員)とも懇談した。また、豊田委員長とともに、同大学のアスリートたちと懇談、「東日本大震災から5年が経過したが、スポーツ界も経済界とともに復興を支援したい。何よりも、被災地出身のアスリートが活躍することが、地域を元気にする」と語った。それを受け豊田委員長は、「今日は、今後の活動のヒントを得たいと考え、大震災からの復興を目指す宮城県を訪問したが、あらためてスポーツの持つ力を実感した。大震災を経験しても、競技をやめずに続けてきた皆さんから元気をもらった」と語った。

次に訪れた石巻市総合運動公園で豊田委員長は公園内に移設されている旧国立競技場の聖火台を見学した後、日本製紙の石巻硬式野球部・室内練習場で、室伏氏が地元の子どもたちとともに継続して行ってきた聖火台磨きの活動や「1964年の東京オリンピックで日本の戦後復興の象徴として火が灯された聖火台が、いま石巻市において鎮魂と復興のシンボルとなっている」との説明に熱心に耳を傾けた。あわせて、地元の陸上クラブの子どもたちと交流を行い、豊田委員長も室伏氏の指導のもとで一緒に身体を動かした。室伏氏のこうした活動は大震災前から行われており、スポーツを通じた絆をあらためて実感した。

同委員会では今後も、こうした活動を委員会参加企業の経営者が主体的に取り組んでいく。

左から室伏氏、佐々木選手、加藤選手、豊田委員長

【教育・スポーツ推進本部】