Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年5月19日 No.3270  EPA・FTAについて外務省と意見交換 -通商政策委員会

経団連は4月26日、都内で通商政策委員会(中村邦晴委員長、伊東信一郎委員長)を開催した。会合では、提言案「日中韓FTAならびに東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉に関する要望」の審議を行い、了承を得た。続いて、外務省の金杉憲治経済局長から、EPA・FTAに関する最新の状況について説明を聞き、意見交換を行った。
金杉局長の説明の概要は次のとおり。

■ EPA・FTA交渉の現状

現在、世界では、日中韓FTA、RCEP、日EU EPA、環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)という4つのメガFTA交渉が進行しており、日本はそのうち3つに参加している。メガFTAは日本の成長戦略にとって重要であり、実現に向けて交渉を行っているところである。このほか、二国間では、日モンゴルEPAが発効間近であり、トルコ、コロンビアとも交渉中である。

■ TPP(環太平洋パートナーシップ)

2月4日に署名されたTPPについては、現在、各国が発効に向けた国内手続を行っている。マレーシアが承認済み、シンガポール、ブルネイ、ニュージーランドは概ね手続を完了している。総選挙を控える豪州は時間を要する可能性がある。大統領選を控える米国も状況がやや不透明であるが、オバマ政権のうちに議会承認が行われるとの見方もある。日本としても、早期に国会承認を得たい。なお、TPPには韓国、タイ、コロンビアなどが関心を示している。

■ RCEP

日本はRCEP交渉参加国のうち、韓国、中国以外の国家とはEPAもしくはFTA(TPP含む)を締結しており、RCEP交渉は日本と中国の着地点が交渉の軸になる。RCEPには、原産地規則の統一など、日中韓ならびにASEANの地域サプライチェーンの連結性の強化などの効果が期待されており、日本としては質の高い協定を目指したい。

■ 日中韓FTA

現在はRCEP交渉が先行するかたちとなっているが、昨年11月の日中韓首脳会談において、交渉の加速が確認されており、日中韓FTAについても取り組んでいく。

■ 日EU EPA

今年から来年にかけて欧米が選挙を控えるなどの事情で、今年中のTTIP妥結は難しいとの見方がある。他方、それゆえにEU側は交渉資源を日本に特化しやすい状況にあるともいえるので、今年中の日EU EPA妥結を目指している。

■ 伊勢志摩サミット

世界経済と貿易、政治外交問題、気候変動・エネルギー、開発という伝統的な議題に加え、議長国として、質の高いインフラ投資、保健、女性の3つのテーマを扱いたいと考えている。欧州首脳のアジアへの関心を高めるとともに、メガFTAの交渉加速についても議論したい。

【国際協力本部】