Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年8月11日 No.3282  「働き方・休み方改革セミナー」―企業事例・基調講演 -働き方・休み方改革集中取り組み年 リレーセミナー第1弾

経団連、日本商工会議所、経済同友会、全国中小企業団体中央会は7月27日、東京・大手町の経団連会館で「働き方・休み方改革セミナー」を開催した(前号既報)。働き方・休み方改革に積極的に取り組む企業4社の事例および基調講演の概要は次のとおり。

■ SCSK(大澤善雄会長)

大澤氏

働き方改革には経営トップのコミットメントが重要であり、一時的な業績悪化を覚悟し、中長期的な取り組みを推進してきた。具体的には、顧客や家族に向けて、健康増進や有給休暇の取得奨励等、会社の取り組みに対する理解を求める手紙を出したほか、社員へのインセンティブとして、削減した残業代を社員に全額還元した。2013年4月から月間平均残業時間20時間、年次有給休暇取得日数20日を目標に取り組みを開始し、残業時間は14年から18時間を維持、有給休暇も95.3%と成果につながっている。

■ 味の素(森卓也人事部労務グループ長)

森氏

「ダイバーシティ&WLB」を重要な経営戦略と位置づけ、ゼロベースで働き方を変革し、「時間生産性」の向上策をスタートさせた。08年から労使プロジェクトを立ち上げ、時間単位年休やテレワークなど仕事の質と量を高める制度を導入し、朝型勤務の奨励、働き方計画表やスケジューラーによる業務の見える化も進めている。16年度から、1日当たりの所定労働時間を20分短縮し、WLB向上と実質賃上げの両方を実現する予定である。

■ 兼松(宮角文子人事総務部長)

宮角氏

16年4月から「ブロンズウィーク制度」を新設し、飛び石連休の中日や3連休の前後での年休をつけて、個人ベースで4連休以上の大型連休の取得策をスタートさせた。期初に年4日以上の候補日を設定し、そのなかから個人が2日以上の連続休暇の計画を立てる。リフレッシュやインプットを増やすことで仕事への好循環も生み出すことを期待している。

■ 三越伊勢丹ホールディングス(内藤義則グループ人財本部労務部長)

内藤氏

店舗営業では所定労働時間や拘束時間が長くなる。そのため、「働く環境改善」を経営の最重要課題ととらえ、店舗休業日の拡大や時短営業の導入により、時間(量)を削減し、働き方の質を高める取り組みを進めている。また、労使での働き方部会や共同宣言、労働時間管理ハンドブックの発刊を通じて、意識改革を促している。フリーアドレスやモバイルPC、フレックス制度の導入により、時間外労働を大幅に削減することに成功している。

■ 基調講演(佐藤博樹中央大学大学院教授)

佐藤教授

働き方改革の目的は、時間生産性や付加価値生産性の向上であり、時間意識の高い働き方への転換が残業削減や年休取得増加につながる。育児や介護等により時間制約のある社員も活躍できるよう機会の均等化を図るためにも働き方改革は不可欠である。同時に、仕事以外の生活を大事にする個人の生活改革も進めていくことが重要である。

【労働法制本部】