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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年9月29日 No.3286 「平成29年度税制改正に関する提言」公表 -GDP600兆円経済の実現に向け、研究開発税制の拡充や外国子会社合算税制の見直しへの対応を

経団連は20日、「平成29年度税制改正に関する提言」を公表した。提言では、研究開発税制や外国子会社合算税制などが主要な課題となっている。

1.研究開発税制の維持・拡充

政府の成長戦略では、デフレからの脱却と経済再生、名目GDP600兆円経済の実現のために、第4次産業革命(Society 5.0)を強力に推進するとされている。また、2016年の第3四半期からGDPの計算に研究開発投資を加えるため、引き続き研究開発投資を拡大していくことが重要となる。

これらの点を踏まえ、研究開発税制の存在は不可欠であり、制度の維持・拡充が求められる。

個別の制度について、総額型は、わが国の研究開発を支えるまさに根幹として維持が不可欠であり、25%の控除上限は引き下げるべきではない。増加型・高水準型についても存続が前提であり、とりわけ研究開発に重点を置く企業を中長期的に支援するため、高水準型の果たす役割は大きい。

さらに、幅広い産業で第4次産業革命(Society 5.0)を推進するため、IoT(Internet of Things)やビッグデータなどのさまざまな技術を活用した「サービス」の改善を研究開発税制の対象に含める必要がある。

また、オープンイノベーション型については、より一層活用が求められるが、要件が厳しいため、契約書記載条件の簡素化・緩和等を行い、活用しやすい制度へと変革すべきである。

2.外国子会社合算税制(CFC税制)の見直しへの対応

外国子会社合算税制(CFC税制)は従来、タックスヘイブン対策税制とも呼ばれていたが、軽課税国等に設立された子会社の所得のうち、実質的な経済活動を伴わないものを親会社において課税する制度である。このCFC税制は、平成28年度の与党税制改正大綱で、「軽課税国に所在する外国子会社を利用した租税回避の防止という本税制の趣旨、日本の産業競争力や経済への影響、適正な執行の確保等に留意しつつ、総合的な検討を行い、結論を得る」とされている。

この点、OECD/G20のBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの最終報告書では、CFC税制について各国の柔軟な制度設計を許容する結論となっており、日本のCFC税制をBEPSプロジェクトにあわせて急いで改正する必要があるわけではない。

もっとも、CFC税制の見直しについて検討することは有意義であり、実務負担に配慮しつつ、本来日本で納めるべき税が意図的に浸食され、軽課税国で租税回避を生み出しているといえる場合のみを合算対象とすることが適当である。

そのうえで、事業実体のある航空機リース収入や、グループ内組織再編成から生じるキャピタルゲインなど、税源浸食や租税回避といえない取引については、適用除外とすべきである。一方、適用除外要件を根本から見直すこと等により、企業の負担が著しく増大するような制度を導入することには、賛成できない。

◇◇◇

提言ではこのほか、自動車車体課税の負担軽減、地球温暖化対策税の廃止を含む見直し、NISA(少額投資非課税制度)の拡充、退職年金等積立金にかかる特別法人税の廃止等についても実現を求めている。

※ 提言の詳細は経団連ウェブサイトに掲載

【経済基盤本部】

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