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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年9月29日 No.3286 提言「独占禁止法の審査手続・課徴金制度に関する意見」公表 -適正手続の確保や裁量型課徴金制度導入反対を表明

経団連は20日、提言「独占禁止法の審査手続・課徴金制度に関する意見」を公表した。

公正取引委員会は、今年2月から「独占禁止法研究会」を開催し、課徴金制度のあり方について検討している。7月には論点整理を公表し、8月末までを期限として意見募集を行った。論点整理では、(1)画一的・機械的な現行の課徴金制度の改善策(2)公取委の調査に対する企業の協力の促進策(3)防御権をはじめとする適正手続のあり方――などが論点として挙げられている。

課徴金制度や審査手続をはじめとする手続のあり方は、わが国市場の競争環境維持、独占禁止法の執行の信頼性確保の観点から極めて重要であり、経団連として、これらの論点についての考え方を提言として取りまとめた。

ポイントは次のとおり。

■ 適正手続の確保、協力型事件処理体制の構築

現行の課徴金制度の不備を手当てすることは必要だが、まずは国際的にみて遅れている適正手続の確保を優先すべきである。平成25年改正時の附帯決議においても、供述聴取時の弁護士の立会い等について「前向きに検討すること」と指摘されている。

適正手続の確保のためには、従業員の自白に頼った現在の審査手法から、企業に対する報告命令を活用した審査手法に転換し、企業と公取委が協力して事件を処理する体制を構築すべきである。そのためには、弁護士・依頼者間秘匿特権(注1)の保障、課徴金減免制度の見直し、供述聴取時の弁護士の立会いといった環境整備が必要である。

■ 課徴金制度の見直し

現行の課徴金制度では経済活動の実態に対応できていないと考えられる点については、法令上の手当てをすべきである(例=国際市場分割カルテル)。ただし、公取委に大幅な裁量を認めるような、EU型のいわゆる「裁量型課徴金制度」(注2)は導入すべきでない。

企業の調査協力・非協力の度合いに応じた課徴金の加減算については、審査官の審査方針への迎合・無関係の第三者の巻き込みといった弊害が懸念されることなどから反対である。違反行為を認めている事業者による調査協力のインセンティブは、課徴金減免制度の枠内で確保することができる。明らかな調査妨害による調査非協力については、公取委の裁量により課徴金を加算するのではなく、検査妨害罪の活用などにより対処すべきである。

(注1)弁護士・依頼者間秘匿特権=弁護士に対する依頼者による相談内容の秘密を確保するもの。これを保障することにより、依頼者が弁護士に対して自らに有利なことも不利なことも打ち明けて相談できるようになり、適切な弁護を受けることが可能になるとともに、コンプライアンスにかかる適切な助言を受けることが可能となる。欧米各国では一般的に認められている

(注2)裁量型課徴金制度=独占禁止法違反行為に対して、事業者の調査への協力・非協力の程度、違反行為の態様、違反行為への関与の度合い等を勘案して、当局の裁量により課徴金額を決定する仕組み(論点整理1頁)

※ 提言の詳細は経団連ウェブサイトに掲載

【経済基盤本部】

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