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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年11月3日 No.3291 第10回関西企業倫理セミナーを開催 -山口弁護士が講演「コンプライアンス経営の推進に向けて」

経団連は10月20日、大阪市内で第10回関西企業倫理セミナーを開催した。企業の経営トップら約220名が参加した。三宅占二企業行動・CSR委員長(キリンホールディングス相談役)の開会あいさつに続いて、山口利昭法律事務所代表の山口利昭弁護士が「コンプライアンス経営の推進に向けて―精神論ではなく実践論としての企業倫理」と題して講演を行った。
講演の概要は次のとおり。

講演を行う山口弁護士

コンプライアンスとは「社会の要請への適切な対応」である。ただ、社員一人ひとりが常に社会のためだけに行動することを期待することは現実的でない。コンプライアンス経営を推進するには、精神論に訴えるのではなく、全社的な取り組みによって組織風土を改革する努力が必要となる。

企業不祥事が自社の危機につながるか否かは、「運」に左右される面が否めない。例えば、公表すべき不祥事を企業が公表しなかったことが対外的に発覚してしまうこともあれば、一方で、企業が覚悟を決めて自ら公表した不祥事がマスコミにまったく取り上げられないこともある。

こうした点を踏まえれば、経営者は不祥事が企業の危機につながることを前提として、不祥事とどのように向き合うかを考えなくてはならない。すなわち、(1)不祥事の芽を摘む(2)二次不祥事を防ぐ(3)消費者・株主・行政当局を味方につける――といった、不祥事と向き合うプロセスを重視すべきである。経営者には、自社の存在意義が社会的に認められるよう、常に軌道修正を繰り返しながら経営を進めることが求められる。

規制緩和の進展に伴い行政はプリンシプル・コード・ガイドライン等のソフトローによる規制を活用するようになっている。企業には、それらの規制を理解する専門性に加えて、市場の参加者として、規制遵守が期待できるだけの企業倫理を備えていることが求められる。

また、司法による事後規制も変化している。通常、裁判官はビジネスの経験がないため、ある判決を下す際に経営判断の是非そのものを論じるのではなく、その判断に至ったプロセスの合理性を判定する傾向が強くなっている。企業は、普段から適切な判断過程を経て、経済合理性の高い活動を心がけなくてはならない。

【政治・社会本部】

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