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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年11月3日 No.3291 英国のEU離脱に関するセミナー開催 -21世紀政策研究所

21世紀政策研究所(三浦惺所長)は10月4日、東京・大手町の経団連会館で「英国のEU離脱に関するセミナー」を開催した。

6月23日に実施された国民投票において、英国がEUから離脱(BREXIT)する結果となったことを受けて、英国や欧州と関係が深い日本企業にとって経済活動にどのような影響がもたらされるのか関心が高まっている。

そこで、同研究所ではEUの法律、政治、経済の側面から須網隆夫・早稲田大学大学院法務研究科教授、遠藤乾・北海道大学公共政策大学院教授、渡邊頼純・慶應義塾大学総合政策学部教授、日下淳・日本経済研究センター主任研究員を招いて、予想される新しい英EU関係の姿、他の加盟国などへの影響の広がり、EUの枠組みに与える影響などについて見解を聞いた。

■ 離脱に向けた交渉の行方

今後、英国はEUとの間で離脱のための協定と将来の関係を規律する協定の2つを協議する必要があるが、須網教授は、商品、サービス、資本の移動の自由などこれまでEUが個人や法人に与えていた権利について、移行期間の対応も含めて今後どうするかが1つの焦点となるとした。新たな英国とEUとの協定については、英国が主権の回復と市場へのアクセスの双方を確保するという矛盾した主張をしているため、登壇者からは一様に英国にとって難しい交渉になるだろうという意見が聞かれた。

また、このまま英国の離脱が本当に行われるのかという点については、国民投票の結果を尊重して交渉が進められるという見方が登壇者のなかでも多かった。他方、今後、EUとの交渉が難航し、英国の主張がほとんど認められないハード・ブレグジットによって英国経済が深刻な影響を受けた場合には、離脱について英国が再考することもあり得るとの意見もあった。

■ EUへの影響

EUへの影響については、これまでEUのなかで自由貿易をサポートしてきた英国が離脱することで、今後、日EUのFTA(自由貿易協定)交渉に影響が出るかもしれないとの懸念を渡邊教授が示した。遠藤教授は、これまでどおり政治的に安定したドイツがリーダーシップを発揮できればEUが崩壊することはないが、フランスがドイツをフォローアップできるかがカギになると述べた。

また、今回の離脱決定の背景には、移民の問題や主権の回復だけでなく、グローバル化のなかで労働者階級への価値の付与不足が生じ、本来、グローバル化に対する障壁としてつくられたはずのEUが、この階級から逆にグローバル化の尖兵とみられるようになったことがあると分析した。これに対して須網教授は、EUがこれまで自由移動を優先した判断を積み上げてきたことも事実であり、今後は、自由移動一辺倒ではない方向に変わることも必要ではないかとの見解を示した。

■ 日本企業への影響

最後に、日本企業への影響について、須網教授は、英国とEUの間に新たなFTAが結ばれたとしても、英国に進出している日系企業にとって今後、通関手続きなどさまざまな行政手続き上の負担が増えるかもしれないと指摘。また、渡邊教授は、英国に進出しているEU加盟国企業よりも日系企業が不利にならないように注視する必要があるとし、リスクヘッジのためにこれまで英国に集中してきた投資を欧州大陸にも分散させる必要があると述べた。遠藤教授からは、日・英・EUの三極で規制協議会のようなものを設けて日本企業が不利にならないように行動することも考えられるとの意見もあった。

21世紀政策研究所では今後、英国とEUの離脱交渉の進展にあわせて引き続きセミナー等を通じて情報発信を行っていく予定である。

英国のEU離脱に関するセミナー

【21世紀政策研究所】

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