1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2017年3月2日 No.3306
  5. 「2017年の国際情勢を展望する」第2回を開催

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年3月2日 No.3306 「2017年の国際情勢を展望する」第2回を開催 -トランプ政権と日米関係

21世紀政策研究所(三浦惺所長)は2月17日、連続セミナー「2017年の国際情勢を展望する」第2回として、「トランプ政権と日米関係」を開催した。

今回のセミナーには、髙羽陽外務省北米局北米第二課長および同研究所米国プロジェクトの久保文明研究主幹(東京大学法学部教授)、森聡法政大学法学部教授、杉野綾子日本エネルギー経済研究所主任研究員が参加した。

冒頭、先般の安倍首相の米国訪問に同行した髙羽課長が、日米首脳会談等の状況も交え、日米経済関係を中心とした最新情勢を説明。続いて森教授が「トランプ政権の外交・安全保障政策」、杉野主任研究員が「トランプ政権のエネルギー・環境政策」について報告した。

後半のパネルディスカッションでは、久保研究主幹がモデレーターを務め、今後のトランプ政権、日米関係と日本の対応等について意見交換を行った。

髙羽氏

森氏

杉野氏

久保氏

■ 「トランプ政権と日米経済関係」

髙羽課長はまず、今回の安倍首相の米国訪問の成果として、(1)日米同盟が揺るぎないことを内外にはっきりと示した(2)安倍首相とトランプ大統領の間で個人的な信頼関係を深めた(3)麻生副総理とペンス副大統領をヘッドとする「経済対話」の立ち上げに合意した――の3点を挙げた。

日米経済関係については、(3)の「経済対話」が今後の重要なプラットフォームになるとし、早期の立ち上げと着実な実施に向けて取り組んでいくと述べた。また、経済対話の3本柱である「日米が世界の需要を支えていくための経済政策」「貿易・投資ルールのあり方」「相互の経済的利益を促進する分野(エネルギー、インフラ投資、サイバー空間、宇宙空間等)での協力」について解説した。

■ 「トランプ政権の外交・安全保障政策」

次に森教授が、トランプ政権の(1)安全保障観(2)政策過程(3)主要な政策イニシアティブ――について説明した。(3)の注目点として、軍事面では対ISIS作戦のシリア・イラク領内での本格化、経済面では貿易赤字額で突出する対中国政策、外交面では従来対立関係にあったロシアとの関係改善を挙げた。また、外交・安全保障政策を見通すうえでの差し当たりの材料として、今後発表される「国家安全保障戦略」が最も注目されると述べた。

■ 「トランプ政権のエネルギー・環境政策」

続いて杉野主任研究員が、トランプ政権のエネルギーの開発促進、環境関連規制の撤廃等について説明した。オバマ政権の政策からの変更が示唆するものとして、次の例を取り上げた。

まず、オバマ政権では、公共事業の許認可の際には米国内および世界全体の気候変動面への影響を考慮し、また、パブリックコメントにおいては地元住民以外の幅広い利害関係者の意見にも慎重に耳を傾ける方針としていたと説明。それにより建設承認が遅れていた2本のパイプラインについて、トランプ大統領は迅速な審査・承認を指示する大統領令を出したが、鉄道、港湾等の公共事業においても同様のスタンスで臨むものとすれば、インフラ建設の促進を制度面でバックアップするものとなるとの見解を示した。

■ パネルディスカッション

パネルディスカッションで髙羽課長は、経済対話において「貿易・投資ルールのあり方」を議論していくにあたり、米国が環太平洋パートナーシップ(TPP)から離脱し、二国間の枠組みに関心があるという難しい状況にはあるが、日本としては、TPP協定が目指したもの、そこで期待された経済的な意義や戦略的な意義を生かすための可能性やかたちを追求していくのが今のスタンスであると指摘。望ましい着地点に向けて、日米間、そしてほかのTPP参加国とも議論していきたいと述べた。

【21世紀政策研究所】

「2017年3月2日 No.3306」一覧はこちら