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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年3月23日 No.3309 岸田外相との懇談会を開催 -米国、欧州、中国との関係等をめぐり意見交換

あいさつする岸田外相

経団連(榊原定征会長)は13日、都内で岸田文雄外務大臣との懇談会を開催した。外務省からは岸田外相、杉山晋輔事務次官ら幹部が、経団連からは榊原会長、岩沙弘道審議員会議長をはじめ、副会長、審議員会副議長が出席した。

冒頭、榊原会長は、国際経済・社会は激動のなかにあり、北朝鮮情勢、欧米における反グローバル化の風潮や保護主義の台頭等に大きな懸念があるとしたうえで、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化が日本経済の再生に不可欠であり、経済界としても民間外交を通じて貢献したいと発言した。

続いて岸田外相は、国際社会の不透明感が増しているからこそ、自由、民主主義、自由貿易、法の支配といった基本的な価値観やルールという、外交政策における「羅針盤」が必要であると述べた。

経済面では、自由貿易体制のもとで安定と繁栄を築いてきたわが国として、自由で開かれた世界経済の維持・発展のために主導的役割を果たしていくべきであり、WTO(世界貿易機関)や日EU・EPA(経済連携協定)、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日中韓FTA(自由貿易協定)等を通じ、国際社会のルールづくりをリードしていく考えを示した。

TPP(環太平洋パートナーシップ)協定については、米国に対し粘り強くその戦略的、経済的意義を説明するとともに、日本の求心力を活かし、米国以外の各国とも今後の可能性を議論したいとした。同時に、自由貿易を守っていくためにも、格差等のグローバル化あるいは自由経済における負の側面に各国においてしっかりと対処する必要があると述べた。

米国新政権との関係では、2月の日米首脳会談で安倍総理がトランプ大統領と個人的な信頼関係を構築するとともに、日米経済関係の重要性について認識を共有したうえで、アジア太平洋地域、ひいては世界経済をリードしていくため、対話と協力を深めていくことで一致したと説明した。また、岸田外相自身もティラソン国務長官との間ですでに電話や直接の会談を重ねていることを紹介し、日米関係は非常によいスタートが切れたと評価した。

また日中国交正常化45周年を迎える今年、戦略的互恵関係のもと、関係改善に向けて努力していくなかで、日中間の交流を促進するため経団連が「交流促進実行委員会」を立ち上げたことに感謝を表明した。

このほか、在留邦人の安全確保等に尽力すると述べたうえで、「中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク」での経団連の貢献に対する謝意を表明し、一層の協力を要請した。

その後、米国、欧州、中国との関係を中心に意見交換が行われ、岸田外相は、麻生副総理とペンス副大統領の間で立ち上げられる日米の経済対話について、将来の具体的な議論の枠組みができたと成果を強調した。日EU・EPAについては、保護主義への危機感から欧州側が実現を強く求めており、引き続き早期の大枠合意実現に注力したいと説明した。また、英国のEU離脱の過程においては、透明性と予見可能性の確保を継続して求めていくとした。さらに、習近平政権2期目の節目をとらえて今後の日中関係強化の方途を検討したいと述べるとともに、質の高いRCEPの実現に取り組む意向を示した。

最後に岸田外相と経団連の間で、不透明な時代であるからこそ官民が一層連携して経済外交を推進すべきだとの認識で一致した。

【国際経済本部】

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