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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年10月19日 No.3335 国際テロリズム情勢について聞く -中川公安調査庁長官から/経済外交委員会

経団連は9月27日、東京・大手町の経団連会館で経済外交委員会(大林剛郎委員長、片野坂真哉委員長)を開催し、公安調査庁の中川清明長官から国際テロリズム情勢について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ シリア・イラクの周辺情勢

昨今、ISIL(イラク・レバントのイスラム国)は支配地域の縮小に伴い、シリアやイラクでは弱体化が進んでいるものの、組織は存続しており、域外でのテロへの影響力は引き続き脅威である。

シリア・イラクの周辺国自体では、ISILはとりわけ、トルコ、イラン、サウジアラビアを「ジハードの戦場」「欺まん的な圧制者の国」等の理由により敵視しており、戦闘員を送り込んで攻撃を実行している。なかでもトルコにおいては、エルドアン大統領への反発が強まる状況下、ISILのほかクルド人勢力によるテロが続発していることに留意する必要がある。

■ 欧米や東南アジアにおける国際テロ

過去3年間、欧米では、ISIL関連テロの発生国と件数がいずれも増加傾向にある。今年発生したテロは、そのすべてがISILの過激思想に影響を受けた単独・少数の者により実行された「一匹狼型」テロである。当局による事前の発見が困難であること、ISILの支配地域に渡航するよりもむしろ居住地でのテロが推奨されていることなどを背景に、テロ件数は2015年の5カ国・10件から16年の7カ国・22件、さらに今年8月時点ですでに8カ国・19件に上っている。

東南アジアでも、ISILからの指示や支援を受けた組織によるテロが続発しており、15年の0件から16年は57件、今年は8月時点で61件とすでに昨年を超えた。フィリピンでは今年5月、ISILに忠誠を誓った複数のテロ組織により、ミンダナオ島のマラウィ市を占拠する事件が発生し、現在でも武装勢力による立てこもりが継続している。

■ わが国や邦人に対する脅威

わが国や邦人に対する脅威に目を転じると、ISILなどのテロによって、過去5年間アルジェリアをはじめ7カ国で日本人23人が死亡し、9人が負傷した。レストランや観光地などを対象とした無差別テロに日本人が巻き込まれる被害が拡大している。欧米やアジアには多くの邦人企業が進出し、観光客も多数訪れるため、特段の注意が必要である。

■ 公安調査庁の取り組み

公安調査庁は、国際テロに関し、日本国内でのテロの未然防止や、海外在留邦人や企業の安全確保を最大の課題としている。そこで、国内外の情報収集に努め、テロ組織の動向などについて分析しており、民間企業や経済団体との協力関係を構築・拡大していきたい。

【国際経済本部】

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