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  5. 東京大学の渡部産学協創推進本部長からベンチャーインキュベーション施設拡充計画の概要を聞く

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年10月19日 No.3335 東京大学の渡部産学協創推進本部長からベンチャーインキュベーション施設拡充計画の概要を聞く -起業・中堅企業活性化委員会

説明する渡部氏

経団連は9月25日、東京・大手町の経団連会館で起業・中堅企業活性化委員会(根岸修史委員長、立石文雄委員長、泉谷直木委員長)を開催し、渡部俊也東京大学産学協創推進本部長から、同大学のベンチャーインキュベーション施設拡充計画の概要について説明を聞き、意見交換を行った。東京大学と経団連は昨年11月に「東大・経団連ベンチャー協創会議」を設立し、東大発ベンチャー育成支援等に取り組んでいる。渡部氏の説明の概要は次のとおり。

■ 東京大学におけるベンチャー創出状況

東京大学は、産学協創のビジョンのもと、グローバルトップレベルの大学発ベンチャーを創出するイノベーション・エコシステムの構築を目指している。これまでに305社の大学関連ベンチャーを生み出し、17社が上場、時価総額は1.4兆円余りに達しており、国内大学で最高水準にある。

昨年には、投資事業会社である東京大学協創プラットフォーム開発を設立し、有望案件12社への直接・間接投資を行った。

■ ベンチャー創出の場としての東京大学の強み

学内のインキュベーション施設(東京大学アントレプレナープラザ、本郷キャンパスに設置、3600平方メートル)に入居する企業からは、「都内でウエット系(薬品等を使用するもの)の実験ができる環境はここ以外にほとんどない」「大学の設備・装置を最大限活用できる」「高度な人材へのアクセスが容易」などの声が上がっており、東京大学で起業することの強みを感じてもらっている。しかしながら同施設はほぼ満室の状態が続いており、入居をあきらめて海外での起業を選択するケースもみられる。

■ 東京大学のベンチャーインキュベーション施設拡充計画

2019年までにインキュベーション施設を1ヘクタール以上(1万3000平方メートル)までに拡充することを計画している。本郷キャンパスに加え、駒場、目白台、柏の4つの拠点を核として日本最大かつ最高のベンチャー創出環境を構築する。経団連会員企業にも、同施設の活用、設備・装置・サービスの提供などさまざまな面で連携をお願いしたい。

◇◇◇

渡部氏の説明後の意見交換では、企業側から、「2000年前後のIT系ベンチャーブームとは違い、今のベンチャーはタンジブル(有形の、触れられるの意)なテクノロジーに根ざしている。この流れが加速することを期待」「次の重要なステップは、ベンチャーが大企業のアセットを活用できる環境づくり。海外の事例も参考にしながら、大企業が参画しやすい方策を具体的に提示してほしい」「欧米の大学に比べ、物理的に近いことは大きな利点」「ベンチャーと大企業のマッチングにおいては集団お見合い型、個別仲人型をうまく使い分けていく必要がある」といった意見が聞かれた。

経団連では今後、同施設の活用等も含め、東京大学および大学関連ベンチャーとの具体的な連携を進めていく。

【産業技術本部】

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