経団連の女性の活躍推進委員会(吉田晴乃委員長、柄澤康喜委員長)は、女性の活躍推進によるこれまでの成果・ビジネスインパクトを整理し、女性の活躍を通じた経済成長と社会的課題の解決などに向けて求められる施策について検討を行うこととしている。10月11日、東京・大手町の経団連会館で企画部会(中川順子部会長)を開催し、ニッセイ基礎研究所生活研究部の久我尚子主任研究員から、「女性の活躍で期待される消費拡大」をテーマに説明を聞くとともに意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。
■ 女性の活躍で消費拡大が期待できる理由
現代の女性のライフコースは、結婚・就業・出産などによって、非婚就業型、専業主婦型、両立型、DINKS(Double Income No Kids)型、DEWKS(Double Employed With Kids)型、再就職型の6つに分かれる。近年では、結婚後の就業継続率が上昇しており、特にDEWKS型が増加している。
政府は、現役世代の経済基盤の安定化によって希望する結婚・子育てを実現し、消費を持続的に拡大することを目指しており、近年の政策では同一労働同一賃金・最低賃金の引き上げなどが進められている。こうした流れもあり、今後継続的に、共働きで子どものいるDEWKS世帯や、夫と同水準の所得を得る妻がおり購買力の高い「パワーカップル」が増加し、こうした世帯の消費が拡大することが期待される。
■ DEWKS世帯、パワーカップルの消費
DEWKS世帯やパワーカップルの消費のポイントは「時間がない」を解決するところにあり、大きく分けて「時短系」と「代行・アウトソーシング系」の消費の増加が見込まれる。
また、特にパワーカップル世帯は、妻の年収が低い世帯に比べると、旅行・外食・趣味・自己啓発といった分野への支出が多く、高額な消費が期待される。
■ 消費拡大に向けた課題
今後の消費拡大に向けては、出産後の就業継続率の改善や正規雇用の女性の増加などに取り組むことが重要である。大卒女性の生涯賃金は、その後の働き方によって1億円以上の差が生まれる。女性の就労環境の整備、現役世代の経済基盤の安定化が、持続的な消費の拡大に貢献するだろう。
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その後の意見交換では、共働き世帯の増加を念頭においた社会保障制度の構築や男性の家事への参画などについて、活発な議論が行われた。
【政治・社会本部】