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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年12月7日 No.3342 過重労働防止対策セミナーを開催 -働き方改革 CHALLENGE2017・リレーセミナー
/過労死等ゼロに向けた監督指導の強化と企業の実務上の留意点を解説

経団連は11月28日、東京・大手町の経団連会館で過重労働防止対策セミナーを開催し、企業の人事担当者など261名が参加した。

セミナーではまず、厚生労働省労働基準局の増田嗣郎監督課長から、「過重労働解消に向けた厚生労働省の取り組み」について紹介があった。その後、弁護士の中井智子氏(中町誠法律事務所)が、「長時間労働防止に向けた労働時間管理のあり方」について解説した。概要は次のとおり。

■ 過重労働解消に向けた厚生労働省の取り組み

2016年、脳・心臓疾患や精神障害で労災支給決定がなされた件数(死亡・自殺等)は191件となっている。依然として多くの方が亡くなっており、厚労省は過労死・過労自殺ゼロに向けて積極的に取り組んでいる。

長時間労働削減に向けて、16年4月から、月80時間超の残業が疑われる事業場を対象に重点監督を実施し、1年間で1万5790事業場に是正指導を行った。また、監督指導・捜査体制を強化するため、東京と大阪の労働局に「過重労働撲滅特別対策班」(かとく)を設置し、これまでに7社を書類送検した。さらに違法な長時間労働をさせた企業の本社に対する監督指導制度の創設や企業名公表制度の強化等の施策を実施している。

労働基準監督署による監督指導は、「外部の目」と理解してほしい。社内の意識を高める機会ととらえ、法令遵守のギアを上げていただけると幸いである。

■ 長時間労働・過重労働防止に向けた労働時間管理

企業における過労死等の問題を受けて、行政の監督指導が強化されている。違法な長時間労働で企業の責任が追及された場合、コンプライアンスが問われるだけではなく、職場の士気低下や人材流出など損害は計り知れない。企業はこうしたリスクを十分認識する必要がある。

厚労省は過労死等ゼロ緊急対策として、「労働時間の適正な把握のために使用者が構ずべき措置に関するガイドライン」を策定した(17年1月20日)。ガイドラインでは、労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間にあたるとしている。研修や学習と称して実質的に業務が行われていれば、労働時間管理の点で問題であり、確認が求められる。

労働時間の把握方法は、使用者が現認することにより、確認、記録することとされている。実務的には、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録により確認することが望ましい。

今後、労働基準法の改正が見込まれている。時間外労働の上限規制や年5日の年次有給休暇を使用者の責任で取得させる制度が設けられ、違反すると6カ月以内の懲役または30万円以下の罰金が科される。企業は、法改正を見据え、残業時間や年休取得の状況を適正に把握し、必要に応じて事前に警告する仕組みを構築することが求められる。

【労働法制本部】

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