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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年3月8日 No.3353 米国通商政策に関する懇談会を開催 -カトラー・アジアソサエティ政策研究所副所長、パーヴェン・Akin Gump Straus Hauer & Feld LLPパートナーと意見交換/アメリカ委員会企画部会

説明するカトラー氏(左)とパーヴェン氏

経団連のアメリカ委員会企画部会(守村卓部会長)は2月14日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、元USTR(米国通商代表部)次席代表代行のウェンディ・カトラー・アジアソサエティ政策研究所副所長およびAkin Gump Straus Hauer & Feld LLPパートナーのスコット・パーヴェン弁護士から、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉を中心とするトランプ政権の通商政策課題と日本企業への影響等について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ カトラー副所長

1月末にカナダのモントリオールで行われたNAFTA再交渉の第6回会合では、膠着状態をもたらしていた米国からの強硬な提案について、多少の進捗がみられた。米国は自動車関税をゼロとする要件として、米国製部材を50%以上使用することを提示しているが、カナダがこれに対し、知的財産、研究開発費など米国の比重が大きい費用を加算することで、域内原産地比率を引き上げる対案を示したのである。比率の計算に使用する方程式の項を増やすこのやり方は、合理的ではあるものの、必ずしも米国国内での生産を増やす結果につながるとはいえないため、米国が提案に応じるかは不明である。

また、政府調達についての米国の要求は、三国の政府調達水準を絶対額で同額にし、不公平を是正することであるが、米国の政府調達へのアクセス拡大を望むカナダ・メキシコにとっては、同提案は到底受け入れられないものである。こうした深刻な問題が残っている状況では、NAFTAが期限内でまとめられるかどうかは極めて疑問である。

トランプ大統領が、一般教書演説でもダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)でも、NAFTA離脱については触れていないということは、議会の利害関係者や知事から、相当の圧力がかかっていることと思う。しかし、3月、4月の交渉で協定がまとまらなければ、NAFTA離脱を選択する可能性もまだ否定できない。

■ パーヴェン弁護士

トランプ大統領が、「既存のモノをまず壊してから、新しくつくり直す」という従来の彼のスタンスを守っていれば、NAFTAからも離脱していたことだろう。しかし、経済の現実をみることなく、大統領選挙中の公約を盲目的に守ろうとするやり方では、経済界の理解を得られなかったことから、今では方針を変え、NAFTA離脱の危険性についての州知事などの声にも耳を傾け始めた。

トランプ大統領にとっては、貿易において、だれも成し得なかったbetter dealを勝ち取ったことを国民にアピールすることが最重要であるから、日米経済対話で具体的な結果が出ていないことに、いら立ちを感じている。インフラ投資やエネルギー分野でパートナーシップを組むなど、日本がイニシアティブを取って新しい方向性を示していくべきである。

経団連の米国ミッション派遣など、投資額・雇用創出数等の具体的事実を示し、日本の米国での貢献についてアピールする活動は、非常に効果的だ。このような活動を継続し、日米関係の重要性についてより強い声で打ち出していくべきである。

【国際経済本部】

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