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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年3月29日 No.3356 第4期消費者基本計画の主要論点について聞く -消費者政策委員会

岡村長官

福岡審議官

経団連は3月12日、都内で消費者政策委員会(渡邉光一郎委員長、杉山博孝委員長)を開催し、消費者庁の岡村和美長官、福岡徹審議官から第4期消費者基本計画の主要論点について説明を聞いた。冒頭、岡村長官から「消費者基本計画は、国民の消費生活の安定と向上を図るため、消費者庁のみならず関係省庁も含めた取り組みを定めるものである。次期計画は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を初年度に策定されるため、時代の大きな転換点にあることを意識したい。経団連の進めるSociety 5.0が社会に与える影響は大きい」とのあいさつがあった。その後行われた福岡審議官の説明の概要は次のとおり。

■ 消費者基本計画の位置づけ、第3期消費者基本計画の概要

消費者基本計画は長期的に講ずべき消費者政策の柱として、05年度から5年に1回策定されている。第3期からは工程表を導入し、施策の実施状況について検証・評価・監視を実施しており、年1回工程表を改定している。

第3期消費者基本計画では、消費者を取り巻く環境の変化と課題として、特に、持続的な経済成長のための「経済の好循環」をポイントに挙げた。施策の方向性として、主に(1)消費者の安全の確保(2)表示の充実と信頼の確保(3)適正な取引の実現(4)消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成(5)消費者の被害救済、利益保護の枠組みの整備(6)国や地方の消費者行政の体制整備――の6点を定めた。

■ 第4期消費者基本計画の主要論点

現在、「第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会」において新計画のあり方の検討を進めており、18年末に検討会の意見を取りまとめる予定である。主要論点として4点紹介する。

まず、SDGs(持続可能な開発目標)の推進である。これは消費者政策の裏づけとなる重要な理念の1つである。幅広い課題を含むため、消費者政策に関わる課題も非常に多い。消費者基本計画のなかでの位置づけ方法については、同検討会で議論される見込みである。

次に、情報処理・通信技術の進展と普及である。仮想通貨やフィンテックが急激に発展・導入され、ネット通販も急速に拡大する一方、消費者トラブルが発生するなど、情報処理・通信技術の革新・利用の進展と一部での問題発生がみられている。基本計画の5年間を現時点で展望することは容易ではないため、毎年改定する工程表での対応も考えられる。

3つ目は民法の成年年齢引き下げである。現在の案では、未成年者契約の取消権が20歳から18歳に引き下げとなる点(※)が重要なポイントである。来年度からの3年間で集中的に、またその後も継続的に、消費者教育などの環境整備の推進を図ることが必要である。

4つ目は、内部通報制度の充実強化である。事業者のガバナンス向上に資する対策の実施と、有効な活用が課題である。

◇◇◇

最後に、現在の消費者志向経営の推進状況および消費者志向自主宣言の公表企業を対象とした優良事例表彰(予定)について、消費者庁から説明と協力依頼があった。また、渡邉委員長からも委員に対して、消費者志向自主宣言の策定・公表を呼びかけた。

※ 3月13日に閣議決定された民法改正案では、この点にかかる施行日は22年4月1日となっている

【政治・社会本部】

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