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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年3月29日 No.3356 駐欧州大使との懇談会を開催 -欧州情勢等について聞く

あいさつする榊原会長

経団連は3月1日、東京・大手町の経団連会館で、榊原定征会長、永易克典副会長、山内隆司副会長、山西健一郎副会長、江頭敏明審議員会副議長、佐藤義雄ヨーロッパ地域委員長、越智仁同委員長らの出席のもと、駐欧州日本大使との懇談会を開催した。

会合の冒頭、榊原会長があいさつし、日EU EPA交渉の妥結をあらためて歓迎すると述べるとともに、早期の発効への期待を表明した。英国のEU離脱については、ビジネスへの悪影響を最小限にとどめるための働きかけを求めた。

兒玉和夫EU代表部大使は、英国のEU離脱に関し、EUは2月末に公表した離脱協定の草案において、懸案のアイルランドとの国境問題について、北アイルランドをEU関税同盟に残す案を含めることで、英国に具体的解決策の提示を迫ったと説明した。また、日EU EPAの早期の批准・発効に向けた努力を継続すると述べた。

鶴岡公二駐英国大使は、世界が直面する最大の危機は経済合理性に反する国有企業の活動や国家による統制が横行し、法の支配が損なわれつつあることだとし、民主主義、市場経済を基軸とする日英が同盟国として米国とも協力しつつ取り組む必要があると述べた。また、英国のEU離脱について、アイルランドとの国境問題に関する英国内の政治動向に注意が必要だと説明した。

木寺昌人駐フランス大使は、今年7月からパリで開催される「ジャポニズム2018」が高い関心を集めており、フランスから日本への投資が旺盛であること、またフランスにおいて日本や日本企業の投資が歓迎されていることを紹介、日仏関係は極めて良好であると述べた。また、マクロン大統領があらゆる分野で進める改革により、グローバル化のボトルネックの解消が目指されており、これはフランスのみならずヨーロッパ全体にもよい影響を与えると説明した。

八木毅駐ドイツ大使は、昨年9月の選挙後のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社民党(SPD)の連立政権樹立に向けた交渉に触れ、メルケル首相率いるCDU内部には、選挙の大敗や連立交渉の難航を背景に体制刷新を求める声も高まっており、メルケル首相の対応が注目されると説明した。日独関係においては、基本的価値を共有する重要なパートナーとして国際社会の課題に連携して対処することが目指されており、日本にとって望ましいと評価した。

片上慶一駐イタリア大使は、4日に控えたイタリアの上下院総選挙について、躍進が注目された「五つ星運動」と、中道左派、中道右派の各派の政策について解説した。五つ星運動については、欧州統合、ユーロに懐疑的だが、EU離脱などの過激な主張は影をひそめ、移民政策についてもあくまで不法移民への手当てを主張していると述べた。イタリアのビジネスの現場では、連立交渉に伴う政治的空白の影響はないとみられていると指摘した。

上月豊久駐ロシア大使は、18日の大統領選におけるプーチン大統領の再選はほぼ確実としたうえで、新政権では世代交代が進み、プーチン大統領に忠実な若手人材の登用が見込まれるとの見通しを示した。また、現政権の発足当初に掲げた目標のうち、生産性向上についてはまったく進捗がみられないのが現状であり、生産性向上に向けた日本からの技術者派遣も含めた支援が歓迎されていると指摘した。6年間の次期政権の後半では、ポストプーチンに向けて権限委譲等が政権の不安定化の要因ともなり得るとの観点から注視が必要だと解説した。

【国際経済本部】

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