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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年4月12日 No.3358 ILO結社の自由委員会におけるアジア諸国案件の傾向と留意点等聞く -カーチスILO本部国際労働基準局次長から/雇用政策委員会国際労働部会

経団連は4月6日、東京・大手町の経団連会館で雇用政策委員会国際労働部会(得丸洋部会長)を開催した。ILO(国際労働機関)本部のカレン・カーチス国際労働基準局次長から、ILO結社の自由委員会におけるアジア諸国案件の傾向と留意点等について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ ILOの国際労働基準

ILOは、政府、使用者、労働者の代表の三者構成で成り立っており、企業の意見を聞くことも極めて重要である。ILOの大きな役割として、国際労働基準の設定と実施状況のモニタリングがある。労働の専門家から成る「ILO条約勧告適用専門家委員会」が毎年2月に報告書を公表し、そのうち重要と思われる案件について政労使三者から成る「総会基準適用委員会」で審議し、一定の結論を出すことでモニタリングを行っている。

昨今、各国間や多国間の貿易協定において、ILOの国際労働基準の遵守がうたわれるようになった結果、各国でILO条約を批准する動きが進んでいる。しかし、ILOの中核的労働基準に定められている8条約について、欧州諸国はすべて批准している一方、アジア諸国では批准が進んでいない(注)

これらの条約は、国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)にも関係しており、SDGsにおいても、強制労働の根絶、児童労働の禁止・撲滅や、若者、障害者、男女を含む同一労働・同一報酬の達成などが掲げられている。

■ ILO結社の自由委員会の活動

ILO結社の自由委員会は政労使三者構成となっており、労働組合や使用者団体から提訴される労働関係(団結権や団体交渉権など)の苦情を受け付けている。ILO条約を批准していない国についても結社の自由の原則に違反していないか審査ができ、そのなかで個別企業の紛争案件も扱っている。

個別企業は、各国政府に自社の意見や情報をきちんと伝え、政府を通じて委員会の議論に反映させる必要がある。これまでの提訴案件を踏まえれば、ILOの場で国際的に問題を顕在化させる前に、国内で政労使三者間の建設的な対話を通じて解決を図ることが重要である。

企業活動においては、進出先の国内法だけでなく、結社の自由の原則はじめ8つの基本条約に掲げられている原則も遵守することが求められる。

(注)日本は、(1)強制労働の廃止に関する条約(105号)(2)雇用及び職業についての差別待遇に関する条約(111号)――の2条約が未批准

【国際協力本部、労働法制本部】

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