Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年10月4日 No.3379  2019年4月の改正労働基準法施行に向け「労働基準法改正セミナー」を開催 -働き方改革リレーセミナー

経団連は9月19日、働き方改革リレーセミナーの一環として、東京・大手町の経団連会館で「労働基準法改正セミナー」を開催し、企業の人事担当者を中心に約400名が参加した。

黒澤氏

セミナーの前半では、厚生労働省労働基準局の黒澤朗労働条件政策課長が登壇し、今年6月29日の参議院本会議で可決・成立し7月6日に公布された「働き方改革関連法」のうち、労働時間に関する法改正事項および関連政省令の内容について講演を行った。特に、労働基準法に新たな規制として設けられる時間外労働の上限規制と、年次有給休暇5日の時季指定義務の2点について重点的に解説した。

時間外労働の上限規制に関しては、時間外労働は「月45時間以内かつ年360時間以内」が原則とされ、臨時的な特別の事情がある場合であっても(1)時間外労働は年720時間以内(2)休日労働を含めた時間外労働は単月で100時間未満かつ2~6カ月平均で80時間以内(3)月45時間を超える時間外労働は年6カ月以内とする――といった企業実務上重要となる法改正のポイントを解説するとともに、厚生労働省が公表した新たな36協定の新書式の記入例についても取り上げた。

年次有給休暇の時季指定義務については、従来どおり労働者の申出による取得を原則としつつ、取得日数が年5日に満たない労働者に対しては、使用者が年休取得時季を指定し、取得させなければならないという改正法の趣旨を説明するとともに、期初に年休取得計画表を作成することで労働者に計画的な取得を促すといった、具体的に企業が実施すべき方策についても紹介した。

増田氏

セミナー後半では、「働き方改革関連法における実務対応」と題し、ひかり協同法律事務所の増田陳彦弁護士(経営法曹会議所属)が講演した。

労働基準法は罰則法規であり今回の法改正によりこれまで以上に適切かつ厳格な労働時間管理が企業には求められること、使用者だけではなく労働者の意識改革も重要であるといった注意喚起を行ったうえで、法改正の項目ごとに企業が留意すべきポイントについて解説した。

そのなかで、新たな36協定を締結するにあたり労使交渉で準備が必要な事項や、労働時間を把握するうえで企業が実施すべき手法、法改正に対応するうえで新たに盛り込むべき就業規則の例示など、企業が法改正に向けて実施すべき具体的内容について言及。加えて、労働時間の削減や生産性向上に向けた企業の具体的取り組みについて紹介し、法改正対応にあたっては制度整備に加えて、意識改革や業務量の削減の取り組みもあわせて行っていく必要があるというメッセージを発信した。

講演の最後には参加企業との質疑応答を実施し、企業から寄せられた、具体的なケースにおける改正法の解釈や対処方法などの質問に丁寧に回答した。

【労働法制本部】