Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年11月15日 No.3385  第11回日印ビジネス・リーダーズ・フォーラムを開催 -共同報告書を採択し、安倍・モディ両首相へ手交

安倍首相(左から3人目)、モディ首相(同2人目)に
共同報告書を手交する中西会長(左)

経団連は10月29日、インド経済界とともに、東京・大手町の経団連会館で、第11回日印ビジネス・リーダーズ・フォーラム(BLF)を開催した。同フォーラムは、2007年以降、両国首脳の相互訪問にあわせて毎年開催しており、日印両国のビジネス・リーダーが一堂に会して議論を行い、同フォーラムでの議論に基づいて取りまとめた共同報告書を両国首脳に提出している。

経団連側からは中西宏明会長はじめ15名が、インド側からはババ・カリヤニ・バラット・フォージ社会長をはじめ20名が出席し、(1)自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化および経済連携の推進(2)ビジネス環境の整備を通じた経済交流の拡大(3)戦略的重要分野における連携強化を通じた包摂的成長の実現――の3つのテーマについて活発な議論が行われた。

冒頭、日本側共同議長の中西会長は、「日本とインドは長きにわたる友好関係を有してきた。両国の関係を一層強化するためにも、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化や、公正・透明で予見可能性の高いビジネス環境の整備、戦略的重要分野における連携強化を通じた包摂的成長の実現に向けた取り組みを推進することが重要だ」と指摘した。

これに対し、インド側共同議長のカリヤニ会長からは、「日印のビジネス関係に新しい時代が到来しており、特に、テクノロジーに関する両国間の連携強化が進んでいる。他方、日印間の貿易はまだまだ低い水準であり、RCEP(東アジア地域包括的経済連携協定)の締結等を通じ、両国の経済交流を一層拡大すべきだ」との期待が示された。

続く意見交換では、1つ目の柱である「自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化および経済連携の推進」について、現在交渉中のRCEPを包括的かつ互恵的で高水準なものとして早期実現すべきとの点で一致した。また、2つ目の「ビジネス環境の整備を通じた経済交流の拡大」については、昨年7月のインドにおけるGST(物品・サービス税)導入等を高く評価するとともに、日本側からは、土地収用法の早期改正や、税制の整理・合理化・国際整合性の確保、データの自由な流通の確保等を指摘した。3つ目の「戦略的重要分野における連携強化を通じた包摂的成長の実現」については、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、日本の「Society 5.0」とインドにおける「デジタル・インディア」「スタートアップ・インディア」等との連携を強化することが重要との意見があった。

その後、同フォーラムの議論を総括するかたちで「共同報告書」が採択され、同日夕刻、安倍晋三首相とナレンドラ・モディ首相に直接手交された。

また、手交式に先立つ日印BLF参加者とモディ首相との懇談において、モディ首相は、「日印BLFの提言は、日印関係にとどまらず、インドがグローバルなベンチマークを得るうえでも役立つ」と評価したうえで、「日本側の指摘にあらためて感謝したい。日本企業はパートナーであり、日本政府同様にインド政府も信頼してほしい」と述べ、今後の協力に期待を示した。

【国際協力本部】