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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年1月10日 No.3391 JCAAの仲裁制度の改革について聞く -経済法規委員会企画部会

経団連の経済法規委員会企画部会(佐久間総一郎部会長)は12月4日、東京・大手町の経団連会館で日本商事仲裁協会(JCAA)の新仲裁規則に関する説明会を開催し、JCAAの道垣内正人仲裁・調停担当業務執行理事らから説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ JCAAの仲裁制度改革

骨太の方針2017に謳われた「国際仲裁の活性化に向けた基盤整備」のため政府が取り組みを進めるなか、JCAAでは、仲裁機関として2つの仲裁規則の改正および新たに1つの規則の制定を予定している。2019年1月以降の仲裁申立てから3つの仲裁規則のもと、ビジネス界のあらゆるニーズに対応した的確な仲裁サービスを提供する(※)

■ 3つの仲裁規則の改正・制定

  1. UNCITRAL仲裁規則(仲裁管理規則)
    UNCITRAL仲裁規則(注)を用いた仲裁を行うため、同規則を補充するものとして、JCAAの関与について必要最低限の事項を定めた管理規則を用意している。
    同規則の改正案では、世界で著名な仲裁人にJCAAでの仲裁を引き受けるインセンティブを与えるため、仲裁人報償金の金額をドル表示にするとともに、500ドルから世界的にも高額といえる1500ドルまでの範囲でJCAAが決定する時間単価によるタイムチャージ制を定めるもの。世界で最も質の高い紛争解決の提供を目指す。

  2. 商事仲裁規則
    商事仲裁規則の改正案では、円滑な仲裁手続の実現を目指し、諸外国の仲裁機関の規則にはみられないきめ細かなルールを定めた。例えば、仲裁人と当事者との間の利益相反にかかる開示義務違反を理由として仲裁判断を取り消した高裁判決を踏まえ、開示義務の一層の明確化を図る。また、仲裁人が当事者や他の仲裁人の了解を得ることなく、同じ法律事務所のアソシエイト等を補助者として使用する際に、仲裁人報償金の算定や秘密の漏洩について争いが生じるおそれがあることから、補助者の使用についてのルールを明記する。その他、仲裁人報償金に関し、その上限を設けるほか、仲裁廷成立後の仲裁人による報償金の増額交渉について、当事者を困惑させる不適切な行為と考え、これを禁止するなどの規定を整備する。

  3. インタラクティヴ仲裁規則
    世界の大勢である英米法系の仲裁では、行き過ぎた当事者主義により、結果的に無駄な作業やコストが生じていることを踏まえ、JCAAの商事仲裁規則の改正案をベースに、インタラクティヴ仲裁規則を新たに制定する。同規則案では、当事者と仲裁廷との「対話」を義務化するとともに、仲裁人報償金を抑制・定額制化しており、当事者の予測可能性を高め、必要十分な時間とコストでの紛争解決を可能とする。

※ JCAAは、3つの仲裁規則を改正・施行し、12月7日付で公表している
http://www.jcaa.or.jp/new/2018/12/07/jcaa_2.html

(注)UNCITRAL仲裁規則=国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)が、仲裁機関の関与しないアドホック仲裁のために作成した世界標準の仲裁規則

【経済基盤本部】

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