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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年3月21日 No.3401 提言「戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて ―2018年度版―」を公表

経団連は3月19日、提言「戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて ―2018年度版―」を公表した。経団連では毎年度、インフラシステムの海外展開にかかるわが国経済界の要望を取りまとめ、政府の「インフラシステム輸出戦略」改訂への反映等を通じて、質の高いインフラシステムの海外展開の促進を図っている。

わが国政府はインフラシステムの海外展開を成長戦略の柱と位置づけ、2020年に約30兆円のインフラシステム受注を成果目標として設定、各国へのトップセールスや各種支援ツールの充実等の施策を推進している。経団連では、インフラ整備をめぐる各国企業との競争が激化するなか、引き続き政府には「経協インフラ戦略会議」のもと、省庁・関係機関の連携・協力と官民連携を一層推進し、戦略的かつ効率的な関連施策の拡充・実施等を通じた受注実績の拡大を図り、それによって、わが国の経済再生や国連の掲げる持続可能な開発目標(SDGs)達成につなげることを求めている。

■ インフラシステム受注拡大に向けた要望

(1) 日本政府・関係機関への要望

インフラシステムのさらなる海外展開の推進には、政府・関係機関による支援ツールを充実・総動員した総合力の発揮が重要である。このため、政府・各省庁には、ODA事業費等の予算措置の充実や制度改善の推進とともに、ホスト国の総合開発計画策定等の最上流段階から関与し、経営参画や運営・メンテナンスの川下に至るまで、トータルソリューションでの包括的支援・協力を提供する等を提言。また、質の高いインフラが評価される国際的なルールの整備や標準化の推進に向け、16年のG7や18年のAPECに続いて、今年のG20でも議長国として議論を主導し、インフラの質を確保するための開放性、透明性、経済性、財政健全性等の要素を含む国際ルールについて首脳間で合意するよう求めている。あわせて、第三国市場協力を一層推進するための政府の取り組みの継続や、わが国企業とホスト国政府・関係機関等とのトラブルの解決に向けた支援の継続・強化など官民連携の一層の推進を要望している。

ODAについては、さらなる活用拡大に向けた制度拡充や円借款・本邦技術活用条件(STEP)の活用促進、有償・無償資金協力を組み合わせた総合的な支援パッケージでの提供推進、ホスト国の制度インフラ整備支援における関連ITシステムとの一体的な展開等を提言。JICA(国際協力機構)海外投融資、JBIC(国際協力銀行)投融資、NEXI(日本貿易保険)保険等については、民間ニーズに対応したきめ細かい商品拡充等を通じたさらなる支援やリスクテイクの深化、手続きの迅速化等を求めている。

(2) ホスト国の課題改善に向けた日本政府への要望

ホスト国側の質の高いインフラへの理解促進や各種制度・運用改善も不可欠である。わが国政府には、官民連携のもと、質の高いインフラを総合的に評価する入札制度の整備や人材育成への支援、わが国技術基準・規格の標準化や浸透、PPP(官民パートナーシップ)活用環境の整備、ビジネス環境整備に向けた働きかけの重要性等を提言している。

■ 安全の確保

安全の確保は海外事業活動の大前提であり、さらなる対策強化が必要である。日本政府には、治安情勢に関する高度な情報収集・分析と民間への提供やホスト国政府による安全対策強化の取り組みへの支援を求めるとともに、サイバー空間を含めた治安・セキュリティー分野では、わが国企業の技術・ノウハウの活用推進により、各国における安全の確保に貢献できる旨指摘している。

【国際協力本部】

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