経団連と九州経済連合会(九経連、麻生泰会長)は3月6日、福岡市内で「第71回九州経済懇談会」を開催した。経団連から中西宏明会長はじめ古賀信行審議員会議長、副会長らが、九経連から麻生会長はじめ会員が211名参加し、「九州から日本を動かす~Society 5.0実現に向けて」を基本テーマに懇談した。
開会あいさつで九経連の麻生会長は、九州はアジアに近く、アジアの活力を取り込むチャンスに恵まれているとしたうえで、「九州から日本を動かす」ことを使命に取り組むと表明。具体的取り組みとして、観光の基幹産業化、農業などの第1次産業の振興などを挙げた。
続いてあいさつした経団連の中西会長は、日本経済は安定成長を続けている一方、国際情勢は不透明な状況であるとしたうえで、経団連として(1)「Society 5.0 for SDGs」を中心とする成長戦略の実現(2)社会保障改革などの構造改革の推進(3)B20東京サミットなどを通じた経済外交の展開――に取り組むと述べた。
■ 「稼ぐ力」を高める―ローカルアドバンテージを活かして
「『稼ぐ力』を高める―ローカルアドバンテージを活かして」をテーマとする懇談では、インバウンド観光や農業の振興、ラグビーワールドカップ開催を契機とした熊本地震からの復興などに関する九経連からの問題提起に対し、経団連から、
- (1)インバウンド観光の振興には、欧米豪への積極的なプロモーション展開や世界各地からの受け入れ環境の整備、広域連携推進体制の構築が有効(古賀審議員会議長)
- (2)農業の生産性向上に向けて、AI・IoT・ビッグデータ等の革新的な技術の活用や、高い技術力や資金・経営ノウハウを有する企業の農業参入が重要(飯島彰己副会長)
- (3)プレミアムフライデーの実施や、データ利活用やインバウンド消費拡大にも資するキャッシュレス化の推進により個人消費の拡大に取り組む(石塚邦雄副会長)
- (4)観光を含む日本経済の活性化に向け、経団連として、2019年ラグビーワールドカップの成功や、日本の最大の貿易相手国である中国との交流拡大に尽力する(進藤孝生副会長)
- (5)東京オリンピック・パラリンピック大会に向けた盛り上げと大会後のレガシーづくりに経済界協議会として取り組む(早川茂副会長)
- (6)防災・減災に向けて、BCP(事業継続計画)・BCM(事業継続マネジメント)の構築や、官民でのデータ共有・活用、国土強靱化税制の創設などが重要(山内隆司副会長)
――との発言があった。
■ 課題を「機会」に変える―SDGsの達成に向けて
「課題を『機会』に変える―SDGsの達成に向けて」をテーマとする懇談では、ベンチャー育成によるイノベーション推進や女性・外国人材の活躍、人材育成・確保などに関する九経連からの問題提起に対し、経団連から、
- (1)Society 5.0の実現に向けて、デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合が必要であり、なかでもAI活用に向け、企業・個人等のあらゆるレイヤーにおけるAI-Ready化が重要(山西健一郎副会長)
- (2)ベンチャー・エコシステムを進化させるためには、大企業に集積する技術・人材の解放、大学に眠るシーズの発掘、地域金融機関によるリスクマネー供給拡大などが必要(岡本毅副会長)
- (3)女性の活躍推進に向け、経団連として、「女性の役員・管理職登用等に関する自主行動計画」策定の呼びかけや、各種セミナー・人材育成プログラム等を実施する(片野坂真哉副会長)
- (4)日本が外国人材に「訪れたい」「暮らしたい」「働きたい」と認識されるためには、行政と企業の双方で環境整備を進めることが必要(岡本圀衞副会長)
- (5)付加価値の高いサービスや商品の創出などを通じた生産性向上には、イノベーションとそれを起こす人材育成、多様な人材を活かすダイバーシティ経営が不可欠(工藤泰三副会長)
――との発言があった。
【総務本部】