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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年4月4日 No.3403 ビーティ・カナダ商工会議所会頭との懇談会を開催

ビーティ会頭

経団連は3月13日、東京・大手町の経団連会館で、カナダ商工会議所(CCC)のぺリン・ビーティ会頭をはじめ、B20東京サミット参加のため来日した訪日団一行を招き、TPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)やUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)等に関し、カナダ経済界の期待や課題について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 日加関係

日加貿易関係はTPP11発効により新たな時代に突入した。われわれはこの枠組みをいかにビジネスに活用していくかについて考えなくてはならない。

現状、カナダの対日輸出は、カナダの輸出総額の約2%程度にとどまっており、TPP11発効は、世界第3位の経済大国である日本との取引拡大を実現するためのチャンスだととらえている。カナダはこの協定により、対日貿易について、他国と比較して優位性を持つことになる。特に農業や食品分野では米国を凌ぐことになるため、日本との取引を拡大することで、目下の課題である米国への経済依存を軽減できると考えている。

■ 米加関係

米加関係について、政府間の確執が取り上げられているが、両国企業間の関係は極めて良好である。カナダの輸出総額のうち4分の3は米国向けであり、米国はカナダにとって最大の貿易相手国となっている。米加は長年にわたり協力関係を築いている。国防産業においてはプラットフォームを共有しているにもかかわらず、安全保障上の脅威を根拠とする通商拡大法232条の措置の対象となってしまったのは大変残念である。国家安全保障を理由に、同盟国すらも関税措置の対象とする米国政府の対応は受け入れることができない。

カナダは、USMCA交渉に全身全霊を込めて挑んだ。デジタル分野等のいくつかの分野においては、協定は進化したと確信している。一方で、労働力の移動や政府調達については期待ほどの成果を得ることができなかった。自動車関係についても、サイドレターにより、米国が要求する輸出枠制限について受け入れることになった。カナダにとってすぐに実害を被る内容ではないものの、受け入れ難い結果となった。

■ 日加の役割

保護主義に対抗し、競争原理のもと、企業の競争力を維持するためにも、日加協力関係は重要であり、歴史的にも現在ほど日加関係が重要になった時代はないと確信している。

ルールに基づく自由で開かれた貿易体制のためにも、世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続は欠かすことができない要素だと考えている。WTO改革について、日加両国で協力し合い、紛争解決手続について加盟国の理解を得ていくべきである。

カナダは、デジタルエコノミー分野にかかわる通商ルールの策定に一層力を入れていきたいと考えている。今後WTOで国際的なルールが整備されることを期待しており、データ保護等に関して、規制の分断化が発生しないよう支援してほしい。

多国間主義が危機に直面している今日において、日本とカナダの協力は極めて重要であり、グローバルに利益を享受できる体制構築に向け、引き続き連携を強化していきたい。

【国際経済本部】

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