経団連の中西宏明会長は4月22日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
中西会長はまず、東京オリンピック・パラリンピックを控え、サイバーセキュリティに対する経済界の意識を高めることが重要だと指摘。世界の企業では大きな被害が生じているが、日本ではこの1年半、大規模なサイバー攻撃の被害がないことから危機感が薄れているとの認識を示した。サイバー攻撃により事業に限定的な障害が生じることは不可避であり、事業全体がストップしないようBCPを策定することが重要であると強調した。
そのうえで、サイバーセキュリティ対策を専門家だけに任せることなく、経営層から現場まで、全社挙げて迅速に対応できるようにすべきであり、とりわけインフラに対するサイバー攻撃への対策は見直しが必要であると強調した。
採用と大学教育の未来に関する産学協議会の中間取りまとめに関しては、企業が学生を採用する際にルールがないのは問題であること、ルールが1本ではないことについて、大学と経団連で認識を共有したと説明。また、新卒一括採用で入社した大量の社員を各社一斉にトレーニングするというのは、いまの時代に合わないという点でも考え方が一致したと述べた。
他方、報道にあるような、大学と経団連が通年採用に移行することで合意したという事実はないとして、複線的で多様な採用形態に秩序をもって移行していくべきであるという共通認識を確認したとの趣旨であると説明した。
さらに、これまで大学と経済界が直接本音で議論するような機会はあまりなく、お互いの意識のギャップの解消に向け、まず認識の共有ができたことは素晴らしいことだと述べ、今後も対話を継続して、次のステップに進めていきたいとの意向を示した。
【広報本部】