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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年5月16日 No.3407 日本における企業のSDGsへの取り組み状況と今後の課題について聞く -企業行動・CSR委員会

経団連は4月16日、東京・大手町の経団連会館で企業行動・CSR委員会(三宅占二委員長、二宮雅也委員長、津賀一宏委員長)を開催し、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の蟹江憲史教授から「SDGsの現在地と今後」をテーマに講演を聞いた。概要は次のとおり。

■ 日本におけるSDGsへの取り組み状況

わが国における企業へのSDGs(持続可能な開発目標)の普及状況は、北欧と並んでかなり進んでおり、むしろ、これからが本格的な勝負になってくる。

Society 5.0は、SDGs達成にとって非常に重要である。SDGsは、「目標ベースのガバナンス」、つまり、本来必要な到達点を設定し、それを達成するための手段を検討するという発想が非常に新しく、社会的イノベーションに貢献するきっかけにもなり得る。

昨年末に策定された「SDGsアクションプラン2019」の柱の1つは、SDGsと連動するSociety 5.0の推進である。日本では2017年ごろから大企業を中心に経営層の間で、昨年あたりから現場の部課長にSDGsが浸透し始めた。関係省庁も、外務省・内閣府・環境省に加え、経済産業省や金融庁等、経済の本流へと広がりつつある。企業や大学もSDGsへの貢献度で選ばれる時代になってきた。

■ 今後に向けた課題

目下の課題は目標達成に向けた本格的なアクションづくりであり、それに向けた課題は2つある。

1つは、中小企業を中心とした認知向上である。実際にはSDGs達成に資する取り組みとみなせる事例は増えてきている。目標によるタグ付けがメリットにつながることが理解されていけば、認知向上はそれほど難しいことではない。

もう1つは、バリューチェーンへのひも付けを超えたアクション創出のための仕掛けづくりである。すでにひも付けができている企業であっても、必ずしも具体的なアクションにつながっているわけではなく、政策的な仕掛けも必要である。現在、SDGs/ESG(環境・社会・ガバナンス)投資、サステナビリティー投資など、サステナビリティーの観点から企業活動を測ることに関する検討も急速に進んでいる。優良事例の共有・学習機会が不足しているので、今後、「ジャパンSDGsアワード」などを活用しつつ、共有の仕組みをつくっていくことが重要である。

■ 課題克服へのカギ

これらの課題を克服するためには、まず「知る」ための仕組みづくりが重要である。特に今年は、中小企業へのSDGs普及に向けた取り組みがカギを握る。中小企業においても、自社の取り組みがSDGsにつながっているという認知を広めるべく、本学では企業が事業単位でSDGsへの関連をセルフアセスメントできるウェブベースの簡易評価システムを開発中である。企業活動がSDGsに対応しているとの認定を行ううえでは、(1)目標の設定(2)17の目標から総合的に考えたアクション(3)目標実現に向けた進捗の測定――という3点を満たすことが重要である。

企業報告書の多くは、具体的活動を通じたSDGsへの貢献に関する記述が曖昧で、ターゲットごとの分析や統合的アプローチを使用したケースは極めて少ないが、最近では、SDGs達成を導く事業や対策をバックキャストの視点で設定する先進的な事例も出てきているので、参考にしてほしい。

【SDGs本部】

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