経団連は7月25日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会(下村節宏委員長)の2019年度総会を開催した。宇宙基本計画工程表の改訂や、衛星データの利活用促進、宇宙システムの海外展開等に関する昨年度の活動内容が報告されるとともに、宇宙基本計画改訂に向けた提言取りまとめ等の活動方針が説明された。また、泉澤清次三菱重工業社長が副委員長に選任された。
記念講演会では、政府の宇宙政策委員会委員で、同委員会の宇宙民生利用部会および宇宙産業・科学技術基盤部会の部会長を務める、東京大学大学院の中須賀真一教授が「今後の宇宙産業の展開について」と題し講演した。中須賀教授は、世界の宇宙機器・宇宙利用サービスの市場規模がこの10年で約1.6倍に急拡大している現状や、いわゆる「ニュースペース」と呼ばれるベンチャー企業等の活動の拡大の状況を紹介。そのうえで、わが国の宇宙産業のさらなる発展に向け、大企業とベンチャー企業の関係強化や宇宙分野への投資拡大等の重要性を指摘した。
また、総会終了後に開催された記念パーティーには、柴山昌彦文部科学大臣、河村建夫元文部科学大臣、塩谷立元文部科学大臣をはじめ、国会議員、政府関係者、有識者ら約140名が参加。あいさつに立った柴山文科相は、基幹ロケット打ち上げの45回連続成功や準天頂衛星4機体制によるサービスの正式開始など、わが国宇宙開発の進展を紹介したうえで、さらなる発展に向けた人材育成の強化・裾野拡大ならびに政府宇宙開発事業の着実な実行についての意欲を表明した。
【産業技術本部】