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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年11月28日 No.3433 中西会長が「Gゼロサミット2019」で講演 -リーダー国不在の混迷のGゼロ時代に日本が果たす役割

左から中西会長、茂木外相、ブレマー社長、
西村経済再生担当相

経団連は11月18日に都内で行われたユーラシア・グループ主催「Gゼロサミット2019」を後援し、中西宏明会長がイアン・ブレマー社長とともに共同議長を務めた。国内外の政府やビジネス関係者など約600名が参加した。開会セッションにおける両共同議長の発言の要旨は次のとおり。

■ 中西会長「地球規模課題の解決に向けて、日本のリーダーシップのもと、各国官民との協力を推進」

かつてブレマー社長は、「リーダー国不在の混迷」を意味するGゼロの時代を予見した。先行き不透明感が世界の政治、経済、安全保障、技術など多方面に広がり、ますます複雑化していく様相を呈している。

世界が今日直面する最も切迫した危機である気候変動問題に対しては、各国が協力して取り組まなければならない。一方、グローバル化への反発は世界各地で激しさを増している。また、Society 5.0を構築すべく、デジタル革新を実現していく必要があるが、課題も少なくない。

こうしたなか、長期安定政権のもと、緩やかながら安定した経済成長に支えられている日本は、地球規模課題の解決や自由で開かれた貿易の実現に向けて、より大きなリーダーシップや責任を担う必要がある。

すでに、日本はCPTPP(包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定)や日EU経済連携協定の締結をリードし、現在はRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の実現を働きかけている。デジタル分野でも、安倍晋三総理大臣が提唱するDFFT(Data Free Flow with Trust、信頼ある自由なデータ流通)を推進していくことが重要である。

世界が直面する課題の解決には、ビジネスの参加が欠かせない。この点、政府やビジネスのリーダーが一堂に会し、不透明かつ複雑な国際政治情勢がもたらす課題等について話し合うGゼロサミットは、貴重な機会である。

■ ブレマー社長「日本に特に期待する5領域でのリーダーシップ」

米国主導の国際秩序は終わりを告げ、世界は「地政学的リセッション」と、国際的なシステムの機能や各国政府の関係が悪化する悪循環に突入した。国際的なリーダーが不在のなかにあって、中国が独自のシステムを構築するなど、世界の分断が進んでいる。

こうしたなか、最も健全な先進民主主義国家であるとともに、最も公平かつ平等な社会を維持している日本には、さらなるリーダーシップを世界で発揮してほしい。とりわけ日本に期待するのは、(1)Society 5.0の実現を通じた、世界経済の持続可能な成長への貢献(2)分野に応じた米中間の協調の促進と対立の緩和(3)各国間の調整と国際機関の強化を通じた、ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の構築(4)デジタル空間におけるグローバルスタンダードの構築(5)革新的技術を通じた人々の生活の質の向上――である。

Gゼロの世界の真空を埋められるかは、政府やビジネス等のリーダーやわれわれサミット参加者の力にかかっている。

◇◇◇

同サミットには、安倍首相がビデオメッセージを寄せたほか、茂木敏充外務大臣、梶山弘志経済産業大臣、西村康稔経済再生担当大臣らも出席した。

また、「ジオテクノロジーで激変するGゼロ世界=AI活用時代を見据えた国際協調と産官連携の必要性」「日本が発信する世界への教訓=日本からの展望」「2020からの地政学情勢」をめぐって、長時間熱のこもったパネル討議が行われた。

【国際経済本部】

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