経団連の中西宏明会長は11月25日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
中西会長は、2019年度補正予算について、国土強靱化など必要な対策に予算措置をすることは当然としたうえで、わが国にとって重要なことは財政の健全化であり、極端に大型の補正予算は組むべきではないとの認識を示した。
デジタルトランスフォーメーション会議については、デジタル技術で日本の産業構造を変革していくこと、社会課題の解決を国内からアジアをはじめ世界に広げていくことの2つを最重要課題と位置づけ議論していくと説明。前者は経済界自らが取り組む課題であり、それを後押ししてもらうため、例えば規制改革要望では個別テーマをばらばらに並べるのではなく目指すべき方向を示して体系的にまとめていく、後者については海外展開を視野に入れると、個々の企業の壁を越えてリソース、知恵、アイデアを持ち寄る必要があるという認識のもと、今後議論を本格化させるとした。
内部留保に関しては、すでに大半は設備投資やM&Aに投下済みであり、企業の現預金とは全く別物であると説明。他方、研究開発に関する税制上の優遇措置は経団連がかねて強く主張していることであり、実現すればありがたいと述べた。
春季労使交渉をめぐっては、現下の日本の最大の課題は生産性向上であり、重要なことは分母となる労働時間を圧縮するだけでなく、分子となる付加価値を高めることと強調。そのためには働き方改革とエンゲージメント(やる気)を高める取り組みを強力に進めていくことが必要とし、春の労使交渉をこうした課題を議論する場にしたいとの考えを示した。
日韓関係をめぐっては、日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)が延長されたことに歓迎の意を示したうえで、いわゆる徴用工問題も含め、政府間の問題であり経済界が口を出すべきものではないと指摘したうえで日韓関係の正常化に向けて、経済界同士の対話を重ねていくと述べた。
また、香港区議会選挙結果を受けて中西会長は、一国二制度のもと香港が発展することが大事であり、ビジネスの観点からも平穏が戻ることを願っていると述べた。
【広報本部】