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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年11月28日 No.3433 シーヤールトー・ハンガリー外務貿易相との懇談会を開催 -ハンガリーに日本企業の投資を期待

シーヤールトー外務貿易相(右)と越智副会長

経団連は11月6日、東京・大手町の経団連会館でハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易大臣との懇談会を開催した。経団連側からは越智仁副会長・ヨーロッパ地域委員長、清水章ヨーロッパ地域委員会企画部会長らが出席した。今年は日本とハンガリーの外交関係開設150周年であり、両国間の経済関係強化に向けて来日したシーヤールトー大臣は、企業誘致に関する同国の取り組みや英国のEU離脱問題への考えについて説明した。概要は次のとおり。

◇◇◇

2010年に発足したオルバーン政権のもとで、ハンガリーの経済は好調な状態が続いている。昨年の成長率は5.2%であり、EU加盟国のなかで1位であった。10年の失業率は9.2%であったが、現在は3.3%まで低下した。

雇用が確保されて労働者の賃金が上昇しているため、企業の税負担を軽減している。企業が負担する雇用関連税(注)率は、3年前の27%から現在は17.5%に引き下げ、今後も下げる予定である。法人税率は9%であり、EU加盟国のなかで最も低い。

新しい仕事を創出して経済の競争力を向上させるため、政府は新しい投資戦略を策定した。高付加価値や高品質の製品を生産する企業を誘致するため、国内に投資する企業に対して、政府は迅速に補助金を出す。工場などを設立せずに技術関連の投資のみを行った企業も補助金の対象にしている。

工業生産額の約3割を占める自動車産業では、ITを活用した電気自動車など高付加価値の製品を生産している。日本企業に加えて、中国や韓国の自動車関連企業も多く進出している。

ハンガリーに投資している日本企業は170社であり、マジャール・スズキ、デンソー、ブリヂストンなどの7社と政府が戦略的パートナーシップを結んでいる。自動車産業を中心に日本企業は国内で3万3千人の雇用を創出しており、政府は高く評価している。

食品産業も、製品の付加価値を高めて誘致したい産業の一つである。ハンガリーの憲法では、農業や食品加工業における遺伝子組み換えを認めておらず、食品の安全性を確保している。穀物の輸出額は世界第15位であり、食品ではフォアグラが代表的な輸出品である。

英国がEUを離脱した場合、政治と経済の面で影響がある。政治については、EUが政策決定を主導して加盟国の立場が弱まるのではなく、加盟国の協力が強化された形態になると思う。

英国はEUのGDPの14%を占めるため、離脱した場合は経済に大きな打撃を与えるだろう。一方で、英国で働いている20万人のハンガリー人の多くが帰国して国内で働き、経済成長や労働力不足の解消につながることを期待している。

(注)従業員の給与その他の報酬総額をベースに雇用者が負担する社会保険料

【国際経済本部】

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