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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年12月5日 No.3434 DX時代のものづくりデータ取引フレームワークについて聞く -サプライチェーン委員会企画部会

経団連のサプライチェーン委員会企画部会(藪重洋部会長)は11月13日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、「デジタルトランスフォーメーション時代のものづくりデータ取引フレームワーク」をテーマに、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)の西岡靖之理事長から説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ DX時代のものづくりデータ取引のあり方

IVIは「つながる工場」をキーワードに、さまざまな取り組みを行っている。昨今のデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れを踏まえ、ドイツや米国などにおいて国際的なイニシアティブの発揮に向けた動きが活発化するなか、わが国も海外に向けた情報発信が必要との思いから、IVIではアジア、日本発のものづくりの考え方として「Industrial Value Chain Reference Architecture(IVRA)」を構築し、公開した。これは、現場の働き手を中心に据えたボトムアップのものづくりを特徴としており、海外からも共感が寄せられている。

プラットフォーマー企業がクラウドを活用して膨大なデータを集め、ビジネスに活用する動きがあるが、同様の事象がものづくりの現場で起こるとは必ずしもいえない。中小企業も含めたサプライチェーンにおける付加価値の源泉は、ものづくりの現場や職人・技能者そのものである。これらのデータの価値は状況に大きく依存するため、特定の者が対価を得るためにこれらのデータを売買するのは現実的ではない。むしろ価値を生み出すプロセスに関する情報を工場間、サプライヤー間で連携させ、トレーサビリティーの確保や生産性、品質向上につなげていくべきである。

■ ものづくりデータ取引のフレームワーク

IVIでは、従来のファイル転送やEDI(電子データ交換)とは異なるデータ流通の枠組みとして、「Connected Industries Open Framework(CIOF)」を構築した。その基本的な考え方は、データそのものを直接つなげるのではなく、製造という行為、生産プロセスやサービスといった「コト」と「コト」をつなげるというもの。提供するデータの用途、範囲、権利義務関係をあらかじめ企業間で契約として取り決め、システムの裏づけを行うことで、競争力に直結する現場のデータは秘匿しつつ、信頼性のあるデータ連携を可能にする。

また、それぞれの企業や工場、事業所独自の用語を定義した「個別辞書」を、それらと関連づけを行った「共通辞書」を介し自動で切り替えることで、特定の標準に統一することなく、海外企業を含めた新たな取引先との連携を可能にする。個の強みを活かしながら、企業間のデータ連携による生産性、品質向上を実現する「ゆるやかな標準」の実現を目指している。

現在、民間企業の協力も得ながら、いくつかのシナリオを想定した実証実験を行っている。基本形はすでにできており、今後は日本に限らず、海外も巻き込んでの実装や展開を通じ、世界におけるデータ流通のイニシアティブ獲得を目指していく。

【産業政策本部】

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