経団連は12月6日、都内でロジスティクス委員会物流部会(坂元誠部会長)を開催。ラクスルの狭間健志ハコベル事業本部長から、同社が手がける運送マッチングサービス「ハコベル」について説明を聞くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
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当社は2009年9月に創業し、「仕組みを変えれば、世界はもっとよくなる」というビジョンのもと、印刷・広告のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」および物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」を展開している。既存産業においては、大企業中心に、製造から販売まで垂直統合で産業構造が成立してきた。こうしたなか、当社では、シェアリングプラットフォームによって製造と販売を分離し、製造をメーカーに任せる一方で、販売の部分を担おうと考えている。
その一環として、「物流の『次』を発明する」をミッションに掲げ、4年前にハコベル事業を始めた。日本の物流の大部分を占めるトラック物流については、その担い手であるドライバーが17年時点で83万人いたが、ある調査によると、27年には需要が96万人に拡大する一方で、なり手は72万人に減少するとされる。ドライバーのなり手を増やして物流を維持するためには、多重下請構造によるドライバーの手取りの低下や、電話・ファクスをベースとした非効率な業務による生産性の低さといった課題を解決しなければならない。
そこで当社では、荷主と実運送事業者の間で直接受発注ができるプラットフォームを設け、多重下請構造の中間レイヤーを省略している。荷主からすれば多くの運送会社から発注先を選べるようになり、運送会社側は従来の営業活動ではアプローチが難しかった荷主の発注を受けることができるようになる。また、個々の契約の管理も、このプラットフォームを介して、ウェブブラウザやスマホアプリを通じて行うことができる。
物流は他の業界と比べて規格化や透明化が遅れている。当社では、マッチング・配車管理の事業を根幹に価格の透明化、マッチングの最適化を進め、最終的には総合物流プラットフォームの構築を目指す。
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意見交換では、委員から、プラットフォームを今後拡大していくうえで、データ活用に関する課題にはどのようなものがあるかとの質問があった。狭間氏は、空車や取引情報をデータ化していくことと、業界横断的に、荷主ID、運送会社ID、ドライバーID等共通で活用することができれば生産性の向上が期待できると指摘した。
【産業政策本部】