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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年1月23日 No.3439 新しい農産物流通のあり方について聞く -農業活性化委員会企画部会

経団連では、「食料・農業・農村基本計画」の改定を見据え、わが国農業の先端・成長産業化に資する施策について検討を進めている。その一環として12月26日、都内で農業活性化委員会企画部会(井伊基之部会長)を開催し、農業総合研究所の及川智正会長CEOから、持続可能で魅力的な農業の実現に向けた農産物流通のあり方等について聞くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

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当社は、ビジネスとして魅力ある農産業を確立するには収益の上がる流通構造が必要との考えから、ITを駆使した農産物流通のプラットフォームを手がけている。その主な事業として「農家の直売所」を展開している。これは当社が契約している生産者(約9000名)から農産物を集荷し、提携している都市部のスーパーに直売所を設けて直接出荷するものである。

生産者に対してはタブレットを貸与し、農産物の生産、当社集荷場への出荷、直売所(売り先)およびその売り値の決定を委ねている。一方、当社は物流とITのプラットフォーム提供に特化しており、各生産者との関係では、集荷場から各直売所への出荷、直売所での各販売状況のフィードバック等を行っている。また、消費者との関係では、直売所にタブレットを設置し、生産者の写真・氏名や紹介動画を見られるようにすると同時に、タブレット上に「おいしいいね」や「生産者にコメントする」ボタンを設け、生産者と直接コミュニケーションをとれるようにしている。こうしたプラットフォームの提供により、生産者は経営ノウハウを活かした販売・経営戦略を立てやすくなり、なかには約3憶円の売り上げを誇る生産者もいる。

農産物流通は、多様性を確保することが重要である。市場を通じた大規模流通は、大量に安定供給ができる一方で生産者の収益は比較的小さく、道の駅などの直売流通は、流通販売量が少ない一方で生産者の収益を高くすることができる。当社の産直流通はちょうど両者の中間の性質を持つ。生産者ならびに消費者が経営体や嗜好にあわせて流通経路を自由に選択できればと考えている。

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続く懇談では、出席者から物流コストの削減方法について質問があり、及川氏は「輸送の際の積載率を高めることに加え、『生産者から集荷場まで』ならびに『物流センターから小売店舗まで』のファースト・ラストワンマイルを自社で手がけていないこと等で物流コストを下げている」と応じた。

【産業政策本部】

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