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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年1月23日 No.3439 「グローバル消費者調査から考える日本企業の向かうべき方向性」について聞く -生活サービス委員会企画部会

経団連は12月19日、都内で生活サービス委員会企画部会(河本宏子部会長)を開催し、アクセンチュアの石川雅崇戦略コンサルティング本部顧客戦略グループアジア・パシフィック統括マネジング・ディレクターから、日本の消費者の動向とあわせて、日本企業がとるべき消費者への向き合い方などについて説明を聞くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

◇◇◇

アクセンチュアでは2005年から、35カ国・約3万人を対象とした「グローバル消費者調査」を行っている。毎年調査を重ねるなかで、直近(18年)では認知・検討・購入・リピートという消費者の購買プロセスのうち、特に「検討」において、商品を購入する前に比較検討をしない・購入した商品に興味がない「無関心化」という大きな変化が起きている。この傾向は新興国よりも先進国でより顕著であり、日本はその先進国のなかでも一番高い値となっている(「購入にあたり比較検討しない」割合は日本で62%)。この「無関心化」は、世の中に製品があふれ、製品に対しての関心・価値が薄らぐ「モノ余り」、製品や機能が充実したことにより、製品差・機能差が少なくなる「成熟化」、情報が爆発的に増え、情報の取捨選択に疲れてしまう「情報疲れ」の3つが主な要因と考えられる。

では消費者は何に関心を持っているのか。同調査によれば消費者は企業に対して、サステナビリティーや環境問題等、重要な社会的課題への態度を明確にすることを期待している。また、企業を評価する際、企業が示すビジョンを強く重視していることが示されており、モノやサービス自体での差別化よりも、企業としての社会的課題への姿勢、ビジョンをいかに示していくかが、消費者にとって大きな購買選択要因となってきている。

これらを踏まえ、日本企業がとるべき「消費者への向き合い方」についていくつか指摘したい。まず「無関心化」する消費者に満足してもらえるよう、高品質、適正価格といった機能価値の磨きこみは引き続き必要である。加えて、無関心な消費者を振り向かせられるよう、使う・消費することで喜ぶ、あるいは成果が得られるといった体験価値をいかに提供するかが求められる。

機能価値・体験価値を提供するうえで、一つの軸は消費者と共鳴できるパーパス(企業としての存在価値)をどうつくるかだ。日本では社是としてすでにパーパスを定義しているが、消費者の価値観・行動が大きく変化するのにあわせて、社是を見直す必要があろう。さらに、再定義したパーパスに基づき、事業ドメインや事業モデルを変革していくことも必要だ。事業ドメインや事業モデルを変革するには、強いリーダーシップと、デジタルのスピード感で実験・学習を繰り返し得る推進体制が必要である。

【産業政策本部】

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