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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年2月27日 No.3444 ダイバーシティ・マネジメントセミナーを大阪で開催

経団連は2月10日、大阪市内で、内閣府との共催により「ダイバーシティマネジメント for SDGs ~投資家の視点もふまえて」をテーマに「ダイバーシティ・マネジメントセミナー」を開催した。2013年度から開始した同セミナーは今年度で7年目を迎え、企業の役員・管理職やダイバーシティ推進の担当者など約200名が参加した。概要は次のとおり。

■ 基調講演「ダイバーシティ推進に向けた取組と課題」
日本電産副社長執行役員・最高業績管理責任者・佐藤明氏

講演する佐藤日本電産副社長

企業は、社会からのさまざまな要請に応えながら、そのあり方を変えてきた。特に近年、SDGs(持続可能な開発目標)、パリ協定、ESG投資(環境・社会・ガバナンス対応を踏まえた投資)という3つの潮流により、企業にとって「やってて当然ライン」のレベルが大きく引き上げられ、新たな社会価値を創造しサステナブルな成長が期待できる企業が、投資家からも高く評価されるようになった。

日本電産は設立50年に満たないが、現在事業領域を拡大し、「世界ナンバーワンの総合モーターメーカー」から「グローバル総合電機メーカー」へ、さらなる成長を目指している。社員の活躍地域も多様化しており、ダイバーシティを経営の重点課題として掲げ、20年度に女性管理職比率8%の達成を目指している。そして、女性リーダー候補を対象としたキャリア教育や次世代を担う人材へのダイバーシティ教育を行うなど、グループ全体でダイバーシティを推進している。生産労働人口減少というメガトレンドがあるなか、100年後も責任を果たせる企業となるべく、われわれ自身が変化していく必要がある。

■ 事例紹介「ESG投資とSDGs~ダイバーシティに注目して」
三菱UFJモルガン・スタンレー証券環境戦略アドバイザリー部
チーフ環境・社会(ES)ストラテジスト・吉高まり氏

2006年の責任投資原則(PRI)発足以降、機関投資家の意思決定プロセスに非財務情報であるESG課題が重要視されるようになった。以降、投資家はESGという新たな情報源を求めるようになり、ESG投資残高は年々増加。最近では、本業を通じSDGsをどのように達成していくか、中長期的な成長のビジネスモデルについても注視している。

投資家にとって、ESG項目を評価するために統合報告書は重要なツールだが、日本企業が開示しているのはこのうち「G」に関する情報のみであることが多い。財務情報や「G」の情報だけでなく、さらに企業価値を評価されるためには、「E」や「S」の情報をいかに効果的に開示していくかが重要となり、「S」の評価項目として、投資家は、企業における優秀な人材の確保や女性の活躍推進を重視している。ダイバーシティが進んでいる企業の方が、さまざまな面でパフォーマンスが高いという研究も多数あり、企業の成長戦略にダイバーシティは不可欠である。重要な情報を効果的に開示し、企業価値の向上に役立ててほしい。

■ 事例紹介「シオノギのダイバーシティ&インクルージョン施策」
塩野義製薬副社長・澤田拓子氏

シオノギは、社会の持続的な成長に貢献することで、社会から必要とされる企業に進化するために、経営戦略において早くからSDGsを組み込んできた。16年には「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことをビジョンに掲げ、社会課題の解決に向け取り組んでいる。

創薬型製薬企業として成長し続けるため、限られた「資源」を意識し、自身の強みが将来にわたっても強みであり続けるかを吟味する必要がある。また、社是・ミッションの重要性を認識し、最終的なゴールを見据えたうえで活動を行うことも重要である。さらに、ビジネスは常に「相対」で動いているとの認識のもと競争意識を持つことや、マネジメント層における多様性も必要である。

イノベーションの創出には、ダイバーシティ&インクルージョンの推進が不可欠である。当社では、キャリア構築支援の拡充や責任ある仕事の権限を委譲することで、女性MR(医薬情報担当者)の離職率が大幅に改善した。今後、持続可能な社会の実現に貢献していく企業として成長していきたい。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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