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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年3月12日 No.3446 資源循環行政の新たな展開について聞く -環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会

経団連は2月25日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会(山田政雄部会長)を開催し、環境省環境再生・資源循環局の土居健太郎総務課長から、資源循環行政の新たな展開について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 海洋プラスチックごみ問題

プラスチックによる、生態系を含めた海洋環境への影響に対して国際的な関心が高まっている。

政府は、プラスチックごみの海への流出をいかに抑えるかが重要であるとの考えのもと、(1)リデュース・素材代替(2)リサイクル・資源循環(3)海洋プラスチックごみ対策(4)国民運動・普及啓発――を4つの柱として、施策を進めている。

また、日本が議長国として昨年6月に開催したG20では、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有するとともに、各国のベストプラクティスを共有する新たな枠組みとして「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」の合意を得るなど、国際的な合意形成にも積極的に取り組んでいる。

■ プラスチック資源循環戦略

中国のプラスチック輸入禁止措置前後の輸出量変化

昨年5月に政府が取りまとめた「プラスチック資源循環戦略」に、リデュース施策の一つとして、レジ袋有料化の義務化を盛り込んだ。昨年9月以降、経済産業省と環境省の合同審議会において、有料化のあり方が審議され、最終取りまとめを踏まえ、昨年12月に容器包装リサイクル法の改正省令が公布された。レジ袋有料化の義務化をきっかけとして、消費者のライフスタイル変革を促していく。

また、同戦略では、リサイクルの施策として、中国による輸入規制を受けた国内処理の逼迫に対応して、国内資源循環体制の構築が盛り込まれた。環境省では、リサイクル等設備の導入支援や代替素材への転換・社会実装支援などに取り組んでいく。

■ 欧州サーキュラーエコノミーの動向

サーキュラーエコノミーとは、持続可能で低炭素かつ資源効率的で競争力のある経済への転換を目指すもので、欧州を中心に議論されてきた。いまだ概念的なものではあるが、欧州各国での取り組みが進展しており、日本政府として、国際会議を通じて、日本の取り組みを積極的に情報発信していく。

■ 廃棄物の情報伝達

排出事業者から処理業者への情報伝達の不足が原因の一端となり、適正な処理が行われなかったと推定される事故事例を受け、2017年の中央環境審議会の意見具申において、特定の物質や製品については情報伝達を義務づけることとされた。今後、実務を踏まえた詳細な議論を行っていきたい。

■ PCB適正処理

わが国のPCB処理の問題は、1968年のカネミ油症事件以降、適正な処理に向けて、国が主導し長年取り組んできた。PCB廃棄物等の掘り起こしやPCB汚染物等の該当性判断基準の明確化など適正処理に向けた取り組みを進めてきたが、低濃度PCB廃棄物の処理など課題は残っている。PCB特措法で定められた、2027年3月の処理期限に向けて、引き続き処理促進を進めてほしい。

■ 不法投棄、不適正処理等の対策

この20年間で、不法投棄の件数および不法投棄量は大幅に減少したが、ゼロにできていないことが課題となっている。

また、産業界と国が協力して造成する不法投棄等事案に対する財政支援の基金について、2020年度に、今後のあり方についての検討会の開催を予定している。

◇◇◇

産業界からは、低濃度PCB処理問題や廃棄物の情報伝達について、現場での混乱が生じないよう引き続き産業界との意見交換をお願いしたいとの意見が出され、了解を得た。

その後、「循環型社会形成自主行動計画2019年度フォローアップ調査結果」について審議を行い、了承された。

【環境エネルギー本部】

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