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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年3月19日 No.3447 提言「EdTechを活用したSociety 5.0時代の学び~初等中等教育を中心に」を公表

経団連(中西宏明会長)は3月17日、提言「EdTechを活用したSociety 5.0時代の学び~初等中等教育を中心に」を公表した。経団連では2018年11月に公表した提言「Society 5.0―ともに創造する未来―」のなかで、Society 5.0時代に求められる人材は変化するため、「人が変わる」ことが必要であると指摘した。これを受けて、今後求められる人材を育むためのEdTech(注)活用の意義、必要な環境整備に関する具体策を取りまとめたものである。

1.現状の課題

Society 5.0時代には定型業務の多くがAIやロボットに代替可能となるため、自ら課題を見つけ、デジタル技術やデータを活用してそれを解決できる人材が必要である。一方、わが国の教育現場では、講義形式の教科教育に時間的な比重が置かれ、授業のなかでITの活用も十分に進んでいない。そのため、デジタル技術やデータの活用に必要な能力、課題発見・解決能力を育むためには、これまでの学校教育を抜本的に転換する必要がある。また、教員の長時間労働を解消するため業務を効率化すること、急速な技術革新に伴うリカレント教育の必要性もますます高まっている。

2.望ましい学びを実現するためのEdTechの活用

Society 5.0時代には、読み書き能力などに加え、「課題発見・解決能力」「プログラミング的思考」などの能力、「リーダーシップ」「失敗をおそれず挑戦する姿勢」などの資質が必要である。

こうした能力・資質を育むには、読み書き能力や数学的思考力を身につける「教科教育」も引き続き重要であるが、EdTechを活用し、AIドリルなどによって教科教育を効率化して探究型学習を充実させ、子どもの課題発見・解決能力やコミュニケーション能力を育むことが期待される。また、EdTechは、校務支援を通じた教員の働き方改革、学習履歴の保存・活用による「学び続けるモチベーション」の向上にもつながる。

3.必要な環境整備

(1)政府、学校に求めること

こうした望ましい学びを実現するためのインフラ整備として次の5つが求められる。第1に「教育用端末の一人一台の整備」などハード面の整備である。特に、新型コロナウイルス感染症の影響により多くの児童が自宅学習を強いられている現状に鑑みると、同様の事態に備えて早急な実現が必要である。第2に、「習熟度に応じた授業の推進」などソフト面の整備、第3に、教員の役割の変化に伴う「教員の研修」など人材面の整備、第4に、個人情報保護条例のあり方を含め、「データの収集・連携・活用に向けたルールの策定」「学習者IDによるデータ連携」などデータの活用促進、第5に、学校以外の多様な学びの場を確保するための規制緩和など「法律・規制面の整備」が必要である。また、校務支援として、学校や教員が果たすべき業務の明確化と社会認識の醸成なども重要である。

(2)企業に期待されること

人材を採用し、実際に社会課題の解決にあたっている企業自身も、それぞれの業種や特性に応じて、人材育成に大きな役割を果たすことが求められる。具体的には、第1に、「求める人材像や能力の明確化、対外的な発信」、第2に「学びや能力を踏まえた採用、処遇、評価」、第3に「探究型学習に関するコンテンツの提供、IT活用、探究型学習に関する人材の派遣」、第4に教育関連企業における「教育単元の共通化」が期待される。

(注)EdTech=Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語

【産業技術本部】

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