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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年3月26日 No.3448 報告書「Society 5.0時代を切り拓く人材の育成―企業と働き手の成長に向けて」を公表

経団連(中西宏明会長)は3月17日、報告書「Society 5.0時代を切り拓く人材の育成―企業と働き手の成長に向けて」を公表した。同報告書では、企業における今後の人材育成のあり方を示すとともに、先進的な企業事例を紹介している。

■ 人材育成の課題

わが国は、転換期のビジョンとしてSociety 5.0のコンセプトを掲げている。その実現には、デジタル技術を活かし、新しい価値を創出できる人材が求められる。しかし、経営環境や働き手の意識の変化により、中長期的に自社に適した社員を育成する従来の仕組みだけでは、Society 5.0時代に活躍する人材の育成は困難となっている。

具体的な課題としては、(1)前例主義的な意識や内向きの組織文化の変革(2)受け身のキャリア形成からの転換(3)デジタル革新を担える能力開発――の3つが挙げられる。

■ Society 5.0を実現する人材の育成

働き手のキャリア観が多様化するなか、企業は、働き手から選ばれる魅力「エンプロイメンタビリティ」を高める必要がある。他方、働き手には、主体的に自身の価値「エンプロイアビリティ」を磨いていくことが求められる。企業と働き手が選び合い、ベクトルを合わせて、共に成長していくことが、Society 5.0時代の人材育成基盤となる。

Society 5.0時代の人材育成基盤 ― 成長の好循環の実現

人が育ち、働き手から選ばれる組織に向けて、企業は、次の3つを柱として取り組むべきである。

(1)意識と組織文化の変革

社員の意識と組織文化の変革に向けて、経営トップから、転換期における自社の理念・ビジョンを社員に浸透させたうえで、「人材」と「キャリア」双方の多様化を重視していくことや、「開かれた組織文化」へと変えていく方針を示すことが重要である。

(2)自律的なキャリア形成の支援

社員の自律的なキャリア形成に向けて、3つの施策が求められる。

第1は、経営トップや管理職層から、自律的なキャリア形成を重視するとのメッセージを発信し、社員の意識を変えていくこと、第2は、社内公募制など社員の意向を踏まえた人事異動等を実施すること、第3は、効果的なOJTに向けて個別のコミュニケーションを充実させることである。

(3)デジタル革新を担える能力開発

働き手に求められるスキルが急速に変化していくなか、OJTだけでは変化に十分に対応できない。特に、デジタルに関するスキル・リテラシーの向上は喫緊の課題である。企業は、デジタル革新に向けた自社の経営戦略を明らかにしたうえで、一般社員向け、スペシャリスト社員向けそれぞれに対する能力開発の支援策を計画的に実施していく必要がある。

また、職業人生の長期化を見据えれば、全社員を対象にリカレント教育を充実させることが重要となる。

■ 学びと成長を促す環境整備

企業は、働き手の成長を促すため、情報提供やエンゲージメントの改善、HR Tech(注)の活用などさまざまな支援制度の整備を進めることが肝要である。

(注)HR Tech(Human Resources Technology)=デジタル技術を活用した人材マネジメント手法

【労働政策本部】

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