経団連の中西宏明会長は3月25日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
中西会長は、東京オリンピック・パラリンピックの延期について、開催の判断は日本だけで下せるものではなく、新型コロナウイルス感染症が拡大している多くの参加国の状況を踏まえれば、延期はやむを得ないとの認識を示した。また、延期による経済への影響はまだ見通せないとしたうえで、東京五輪・パラを成功させるため、課題は山積しているが、一生懸命やるしかないと述べた。
新型コロナウイルスの影響と対応をめぐっては、新型コロナウイルスの拡大により世界中の経済活動が相当停滞していることに言及。グローバルな人の往来が制約され、大小各種イベントの開催も抑制されるなど、さまざまな分野で大きなインパクトがあることから、各国政府が共同歩調を取って対策を講じる必要があるとの認識を示した。経済対策については早急に手を打つべきものと、中長期的に講じるべきものに分けて検討する必要があると指摘。ソフトランディングさせるべく政府と連携していくと述べた。
また、東京都でも新型コロナウイルス感染者が増えているものの、ワクチンや治療薬が開発、流通するまで感染拡大を可能な限り防止するとの日本政府の方針は効果が上がっていると述べ、東京の封鎖が今は必要な状況にはないと指摘。米国各都市での封鎖の状況も勘案し、同時並行で医療体制をどう維持するのかなどを検討すべきとの考えを示した。
感染経路の不明な患者が増加していることについては、日本は保健所の体制が確立しており、当該地域において感染者が発生した場合の責任部署が明確であることから、諸外国に比して感染経路を特定しやすく、結果として感染を遮断し、感染者の急増を防いでいるとの認識を示した。
一方、企業のサプライチェーンのあり方については、製品の供給元が特定の地域・国に偏らず、可能な限り一つのネットワークを保てるようにすべきと強調。これまでも災害発生の都度、サプライチェーン見直しの動きがあったが、今般の新型コロナウイルスもそうした契機となるだろうと述べた。
【広報本部】