経団連、東京大学(五神真総長)、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF、高橋則広理事長)は3月26日、共同記者会見を行い、共同研究報告書「ESG投資の進化、Society 5.0の実現、そしてSDGsの達成へ」を公表するとともに、Society 5.0 for SDGs実現に向けた今後のアクションプランに合意した。今後、経団連は学術界、投資家とともに、Society 5.0の実現に向けたムーブメントをさらに大きなうねりとすべく、国内外に発信していく。報告書の概要は次のとおり。
■ 経済界、大学、投資家による共同研究の目的
デジタル革新(DX)の進展、経済社会構造の変化、地球環境問題への危機感の高まり、人々のマインドセットの変化など、われわれは今、大変革の時代に直面している。これらの変化をチャンスととらえ、中長期的な経済成長と、持続可能で人間中心の社会の構築には、日本発のコンセプトである「Society 5.0 for SDGs」の実現が大きなカギを握る。そこで今般、日本の経済界、アカデミア、投資家を代表し、経団連、東京大学、GPIFの3者で、Society 5.0 for SDGs実現に向けた共同研究を行った。その際、課題解決イノベーションを推進する企業や大学、スタートアップ等に中長期の安定的な資金が向かうことのへの重要性を認識共有し、議論を重ねた。
■ Society 5.0に資する課題解決イノベーションへの投資促進がSDGs達成のカギ
具体的には、健康・医療、地球温暖化、エネルギー、食糧などの課題解決を図り、日本および世界の中長期的な成長を図っていくため、投資家には、企業倫理やリスク回避の側面にとどまらず、「ESG投資の進化」(課題解決イノベーションへの投資促進)によるSociety 5.0の実現こそがカギを握る。そこで報告書では、(1)Society 5.0の理解の現状とその向上策(2)経済効果・社会的効果(3)Society 5.0推進企業の情報開示の方向性(4)投資環境の整備――について具体的方策を提示した。
特に(2)経済効果・社会的効果に関する試算では、Society 5.0が実現した場合、2030年に250兆円の成長機会が創出され、GDPは900兆円になるとの分析結果を得た。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】