Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年6月25日 No.3458  海外にルーツを持つ子どもたちの教育機会保障に向けて -教育・大学改革推進委員会企画部会

経団連は5月26日、教育・大学改革推進委員会企画部会(宮田一雄部会長)をオンラインで開催し、青少年自立援助センター定住外国人支援事業部事業責任者の田中宝紀氏から、海外にルーツを持つ子どもに対する教育支援の現状について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ YSCグローバル・スクールの活動

当センターが運営しているYSCグローバル・スクールでは、2010年度から東京都福生市を拠点に、海外にルーツを持つ子ども・若者を年間120名以上受け入れ、教育支援を行っている。日本語がわからない子どもや若者に対し、専門家が日本語教育を行うなど学習支援の機会を提供する同スクールの活動は、全国でも珍しい。16年度からは、日本語を母語としない子どもへの支援機会の拡大を目指し、ICTを活用したオンライン遠隔地日本語教育事業を始めている。

■ 海外にルーツを持つ子どもへの支援の課題

日本語を教えられる人材の不足等により、日本語指導が必要だが学校では支援を受けられていない児童生徒が全国に約1.1万人いる。一方で、支援団体はボランティア頼みで担い手不足・高齢化が深刻であり、かつ学習のオンライン化も進められていない。このため、コロナ禍による緊急事態宣言発令後、教育機会の提供を継続できた支援団体は全国で38%にとどまった。

今後は、外国人支援に関わるNPO等の基盤強化や支援人材の多様化などを進めるとともに、専門家による公的な日本語教育機会を保障する必要がある。

【SDGs本部】